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空母信濃 服を脱がされる [空母信濃]

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 フラフラしている電信班班長に対し、駆逐艦乗員の
一人が手を貸そうかと尋ねてきました。くたくただった
こともあり、無意識に手を借りようとしたとき、心の中の
負けん気が出てきて、しっかりしろと叱咤してききたので、
「一人でいく」と返事して歩いていきました。

 歩いているときも、「手を貸すというのに天邪鬼なことだ」、
「階級を見て言っているだけで、自分は肉の塊としか認識
されていない」といった思考の喧嘩が始まりましたが、
後甲板につくと、喧嘩別れとなってしまいました。

 後部の甲板まで来ると、屈強な駆逐艦乗員が軍服を
脱がしにかかっていました。遭難者は、一人では服を
脱ぐことすらできないほど疲れ切っていました。

 「兵曹こちらに」という声がしました。一瞬、電信班班長は
自分が呼ばれているとは思わず辺りを見回しましたが、
自分以外遭難者はいないので、自分のことかと改めて
気づきました。

 対応している駆逐艦乗員は、35歳ぐらいで補充兵と
思われました。彼に任せて、手から服を脱がされました。
「見てください。この黒さ」という言葉を聞き、改めて服を
見ると、信濃が沈没した時に漏れた重油で、真っ黒に
なっていました。

 「兵曹はまだいい方ですよ。さっき助けた方は、
全身真っ黒で、炭小屋の小僧のようでしたした」と
いう言葉を聞きました。

 どのような有様か想像つかなかったものの、ユーモア
ある駆逐艦乗員の話し方に、聞き入っていました。

(追記)
 電信班班長は、対応している駆逐艦乗員から兵曹と
呼ばれ続けることになりました。疲れていることも
ありましたが、自分が呼ばれているという感覚は
持てず、知らない第三者を呼ばれているような
気持ちになりました。

 名前が分からないのでしょうがないとしても、他に
呼び方がないのかとしています。


紹介書籍:沈みゆく「信濃」知られざる撃沈の瞬間  著者:諏訪繁治(すわしげはる)


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