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空母信濃 遭難者の救助に見切りをつける [空母信濃]

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 裸にされた電信班班長は、寒さを感じたので、
モンキーラッタルを降りて、居住区に行きました。

 ところが、居住区にいくと熱気で息が詰まるような
感じになりました。しかも、駆逐艦乗員から配られた
ウイスキーを飲むと、吐気もしてきたので、急いで
上甲板に戻っていきました。

 上甲板は冷えますが、冷えた大気の方が気持ちよい
と感じました。

 海の方を見ると、「海ゆかば」を唄っている一群が
いました。合唱は小さくなっていましたが、よくまとまって
いました。この時点では、自分の存在を知らせるために
唄っているようでした。手をあげたり、帽子をかざしたり
していました。

 空を見ると、夕刻が近づきつつありました。信濃が
横須賀を出港したのは、昨日の同じ頃だったと感慨が
わきました。魚雷命中から、浸水、傾斜、総員退去、
風洞に転落、生への行進、現在と、疲れた頭でも
思い起こすことができました。

 このような中、半分ほど入れてあった駆逐艦の錨が
引き上げられ、旗艦浜風の旗甲板に、出撃の旗が
揚げられました。

 十七駆逐隊は、夜間になることで、潜水艦の攻撃を
受ける危険が出てきたことで、遭難者の救助に見切りを
つけました。

(追記)
 せっかく駆逐艦まで到着したにもかかわらず、
波により舷側に叩きつけられ、そのまま浮かんで
こない兵士もいました。

 他にも波をかぶる度に、頭数が減っている様子を、
電信班班長は、駆逐艦の上甲板から見ています。

 この光景を見て、諏訪氏と同様に、パスカルの「人間は
一本の葦である。」という言葉を思い浮かべ、大自然の
脅威の前には、人間の生命など葦に過ぎないとつくづく
感じていました。


紹介書籍:沈みゆく「信濃」知られざる撃沈の瞬間  著者:諏訪繁治(すわしげはる)


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