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山口多聞 薄暮攻撃 [山口多聞]

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 山口少将は、艦橋を降りて、橋本大尉の
意見を聞こうと士官室へ向かいました。

 士官室のドアを開けると、高いびきが
聞こえてきました。橋本大尉が、ぐったり
として、むさぼるように眠っていました。

 並みの神経では、戦場で寝ることは
できませんでした。いくら死線をかい
くぐった辣腕搭乗員でも例外では
ありませんでした。

 橋本大尉は、恐怖を感じる余裕がないほどに、
心身ともに困憊していたようでした。

 山口少将は、何もせずにドアを閉じました。
艦橋に戻った山口少将は、加来艦長や、
幕僚に、「搭乗員は、そうとう疲れている
ようだ。どう思うか。」と尋ねました。

 参謀は、「搭乗員の報告では、敵は輪形陣を
組んだ機動部隊の防御砲火は熾烈だったと
言っています。このまま突撃しても、戦果は
あまり期待できないでしょう。」と言いました。

 そして、薄暮攻撃にしてはどうかという案が
出されました。山口少将も、それなら疲れも
取れるだろうと考え、戦闘配食をするように
命じました。

 ただ、戦闘配食は、副長がすでに手配して
おり、山口少将の命令は不必要でした。

 山口少将は、戦争の常識である、「兵は拙速を
尊ぶ」という格言を信条にしていました。仕上がりは、
少々下手でも、やり方が早い方が戦果を期待
できました。

 特に、今回の海戦では、万全の準備をしてから
行うという作戦のために、大きな被害を出しており、
策に溺れたといっても過言ではありませんでした。

 山口少将は、第三次攻撃を薄暮攻撃にした
ことで、取り返しのつかない事態を招くことも
ありえると思いましたが、足腰も立たない
搭乗員がいる中では、仕方ないと
考えました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)


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