SSブログ

駆逐艦夕雲 二日目の夜明け [駆逐艦夕雲]

スポンサーリンク
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});



 「死んではならぬ、生きて帰るんだ。
幾度も押し寄せる辛酸も克服して、
頑張り通さねばならない。」と、
拳を握り、考え込んでいると、
夢を破るような大きな声で、
「爆音」という叫びが
聞こえました。

 この夜、敵の航空機が飛んできおり、
これで3度目でした。及川氏は、
「我々の脱出に気づいて、しつこく
追跡を繰り返しているのかも知れない。」
と考えました。

 すぐさまエンジンを切り、豆電球を
消すと、艇内は真っ暗になりました。
爆音は次第に大きくなり、超低空の
哨戒機は、刻一刻と頭上に迫って
きました。

 今度こそとどめを刺されるという、
緊張の中、航空機の青い光を追って
いると、やがて頭上に迫ってきました。

 緊迫感がみなぎってくる中、固唾を
のんで見守っていると、頭上を通り
過ぎていきました。今度も見つからな
かったようでした。

 3回も見つからずにやり過ごせた
ことで、幸運に恵まれていると確信
しました。

 航空機が去ると、直ちにエンジンを
起動して、出発しました。発進して
7時間くらいたっていましたが、
エンジンは好調で、悲願成就も
目前でした。

 苦闘に勝ち抜いた仲間たちは、エンジンの
爆音の中、安息をむさぼっていました。
及川氏は、一刻も早く夜が明け、救急薬を
使えるようにならないかと、空を見上げ
ました。

 右後方は、星がまばらになってきて
いました。夜が明けてくるようでした。
及川氏は、「夜が明けてきたぞ」と
叫びました。二日目の夜明けでした。

 そして、早速、救急薬で、応急の治療を
することにしました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早霜」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介


スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。