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駆逐艦神風 遺体処理 [駆逐艦神風]

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 雨ノ宮氏があらためていた遺体は、
満足な形をとどめないものが多く、
どれがどれかわかりませんでした。

 「あげるぞ」という声がして、片足を
次々と手渡されました。「合わせてみろ」
の声で、甲板に並べて寝かせた亡骸の
そばに持っていきました。

 しかし、左足が2本あったり、別の
遺体にも合わないということが起こり、
はっきりした遺体は半数もありません
でした。

 ほとんどは、居住区に飛散したようで、
運用科員が海水ポンプで洗浄すると、
梁などから肉片がバラバラと落ちて
きました。

 雨ノ宮氏は、戦死した電探員を、
特徴である入れ墨を頼りに探して
みましたが、見つかりませんでした。

 夜が明けてから、これらの遺体をボートで
島岸に送り、荼毘に付しました。ついで
燃料を補給し、再び戦場に戻りました。

 燃え殻だらけの羽黒沈没箇所には、
スコールが降り残っていました。重油が
広がる波間には、満タンのドラム缶が
数個浮かび、被災者がとりすがると沈み、
離すと浮かぶを繰り返している者が
数名いました。

 神風は、内火艇に山もりになって
叫ぶ兵たち、円材に乗る者など、
そこかしこから拾い上げて
いきました。

 こうして、羽黒の乗員を約400名
救助しましたが、ただでも狭い駆逐艦は、
まさに満杯状態になりました。

 この日のインド洋の夕日は、泣きたく
なるほどに美しかったとしています。空も
海も切れ目が判別としないほど、さいはても
なく真紅に染め上げていました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介


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