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駆逐艦神風 羽黒撃沈 [駆逐艦神風]

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 神風は、左から敵の機銃弾を、
右から羽黒の機銃弾を浴び、
「我、神風」の発光信号を
羽黒に送りながら、照明弾が
照らす戦場を走り回って
いました。

 照明弾の下に、同航、反航する艦などが
白々と浮き出し、全速で交錯する敵駆逐艦の
上甲板には、人影が見えていました。神風は、
敵駆逐艦の包囲の真っただ中にいました。

 羽黒は、半分頭を突っ込んだ状態で、主砲が
火をふいていました。この時、艦橋から、電探の
始動を告げられました。この時も機器の調子は
最高でした。

 しかし、この時は、敵艦を探知するために、
起動したわけではありませんでした。部下から、
「艦首方向固定目標。陸地。」という報告が
来ました。近くにあるペナン港を探すための
ものでした。

 このことを艦橋に報告すると、艦橋から、
「その目標を離すな。」の声がありました。
神風は、羽黒とすれ違い、ペナンを目指して
航行していきました。

 すれ違いざま、羽黒から「神風」と呼ぶ声が
聞こえました。雨ノ宮氏は、戦後になっても、
その声を忘れられないとしています。神風は
この時30ノット以上の速度で航行していました。

 遠ざかっていく羽黒を見ると、火が赤々と
見えました。羽黒は、この後、撃沈しています。
ペナンに入港した神風は、甲板士官の指揮の
もと、運用科の兵員が滑車を卸おろし、戦死者の
引き上げ作業を行いました。

 薄明かりの中、屍臭のただよう昇降口のあたりを、
雨ノ宮氏は、暗号長と一緒に屍一体一体を、
あらためていきました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介


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