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巡洋艦那智 警戒心ゼロ [巡洋艦那智]

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 敵の不意打ちを受け、ひたすら戦備に
急がせながら、スタコラと尻に帆をかけて
逃走しました。

 笑い事ではないものの、まさに、「笑止」と
いうほか、ありませんでした。缶は2機しか
動いておらず、砲塔は、動力電力が
きておらず、発砲することも
できませんでした。

 警戒心ゼロと言われても、致し方ない
有様でした。今は、準備ができるまで、
敵から離れようという考え以外
ありませんでした。

 幸い、敵は、那智と羽黒が完全にストップ
していたとは思ってもみなかったようで、
弾着は、ことごとく艦首付近になって
いました。

 しばらく逃げて、ようやく準備ができましたが、
肝心の敵がどこにいるのかわからなくなりました。
敵は、絶好のチャンスを掴んでいなら、なぜか
途中で反転し、南下していきました。

 那智と羽黒は、北上していたので、両軍は、
しばらく離隔を続けていました。その後、
針路を変えて、探しましたが、2時間
経過しても、見つからず、焦りが
加わって、心配が大きくなって
きました。

 那智の任務は、船団の護衛なので、
敵艦隊を近づけないように、厳重なる
警戒を続けていました。そこに、ドールマン
少将率いる敵艦隊が、引き換えしてきました。

 敵艦隊は、この時、駆逐艦は魚雷を、
使い果たしており、燃料も少ないという
ことで、スラバヤに帰投していました。

 他の駆逐艦も、味方の機雷にかかって
沈没したり、この駆逐艦の救助に駆り
出されたりで、艦隊は巡洋艦4隻だけ
でした。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平


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