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巡洋艦摩耶 対空戦闘 [巡洋艦五十鈴、摩耶]

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 味方機を砲撃したと知り、直ちに
停止されましたが、大変なミスをしたと
しています。味方機に被害はありません
でしたが、冷汗三斗との思いでした。

 井上氏は、このことで、前途に一抹の
不安を感じました。味方機は、敵艦隊撃滅の
闘志をみなぎらせて、東方に機影を没して
いきました。

 目指す敵艦隊に到達して、かつての
ハワイやマレー沖海戦のような大戦果を
挙げることを期待して、祈る気持ちで空を
見つめました。

 そうこうするうちに、再びレーダーに
小型機の編隊をキャッチしました。今度は
敵機に違いないと、摩耶の対空砲は、
全神経をこれに集中して待機しました。

 すると、敵の空母から発進したおなじみの
グラマンが、次々と視界内に現れて、攻撃準備に
入っていきました。重巡洋艦部隊は、速力を
あげながら迎え撃ち、一斉に砲門を開きました。

 敵機は、四方八方から急降下攻撃に
移ってきました。井上氏は、艦橋で、
操艦に専念しており、見張員の報告に
よって、彼我の態勢を頭に描きつつ、
転舵回避の時機を待ちました。

 敵機が本艦に対して急降下に移った時、
「面舵いっぱい。両舷前進いっぱい。」と
号令を発していました。摩耶は、速くも
回避運動をはじめ、後は対空砲火の威力と、
投下爆弾の行方を待つのみでした。

 息をつめる一瞬がすぎて、轟然一発、敵の
放った爆弾が摩耶の艦側に炸裂し、2機が
もんどりうって海中に突入していきました。
阿修羅の場面とは、まさにこの瞬間を
言うのだろうとしています。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平


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