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巡洋艦大淀 東条首相の視察 [巡洋艦大淀]

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 小淵氏は、土俵上での激突を見ていましたが、 村の選手が帰ってしまったので、楽しさは、 半減していました。それと、村の青年学校の 生徒全員に非常招集がかかっているかも 知れませんでした。結局帰ることにしました。  村に戻ると、東条首相が来るにしては、道路は 掃き清められておらず、出迎えの様子など少しも 感じられませんでした。家々の間に打ち水がして ありましたが、それもホコリ止めにいつもやって いることでした。  小淵氏は、腰巾着のようについてくる少年と 一緒に、家まで歩いていました。すると、家まで 700mくらいのところで、後ろから車が来ました。  道端によって立ち止まると、陸軍大将の制服姿も いかめしい東条首相が、オープンカーに立って いました。  小淵氏は、慌てて挙手の礼をしました。オープン カーの将官は、キビキビとした動作で答礼の挙手をし、 通り過ぎていきました。その後に、黒塗りの乗用車が、 一台続いていました。しかし、先導や護衛のオートバイは ついていませんでした。  少年が、「あれが東条さんかい。」と聞いてきました。 「そうだよ。」と返事すると、「おらおじぎしなかったよ。」と、 さも悪いことでもしたかのように、少年は、小淵氏の顔を 見つめてきました。  戦争が始まってから、「ガソリンは血の一滴」と言われ、 貴重なものになっていました。その代用に木炭やマキで 自動車が走っていました。東条首相は、沢渡温泉の 5km程奥にある木炭の生産状態を視察に来たよう でした。  東条首相は、四万温泉に一泊して、翌朝村を 去っていきました。この時も、見送る物は少なかった ようです。こんな山奥の寒村を、総理大臣が視察に きたというので、村の人達は、みな感動していました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男


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