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巡洋艦大淀 内地到着 [巡洋艦大淀]

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 夕刻、どこから飛んできたのか、哨戒機が 1機、艦の上空を低空で旋回し、バンクを しながら飛び去っていきました。  洋上で、味方機に出会うほど、嬉しい ことはありませんでした。その後を追う ように、大淀は、快走していました。  艦内は、暖房が通され、温かい風が 吹き出していました。哨戒機の飛び 去った空は、きれいな夕焼けでした。  第三配備を解いた艦内は、全員が 居住区に戻って、夕食をしました。 みんなの顔に喜色が溢れていました。 内地での上陸を楽しみにしているよう でした。  早速靴を磨きだす者や、久しく着ることの なかった冬服を引っ張り出して、手入れして いる者、もう誰も非番だからといって、 眠っている者はいませんでした。  「大淀は、秘密命令を受けているの だから、内地に着いても上陸など許可 されないぞ」「横須賀に着いたら、すぐ 出撃するのだから、あまり期待すると、 後でがっかりするぞ」と言って、 脅してくる者がいました。  しかし、「もしかしたら休暇が出るかも 知れない」という、乗組員の期待に応える かのように、大淀は横須賀を目指して、 闇の中をひた走っていました。  夜明け頃、大島近海を通過し、遥か 彼方に本土が見え出しました。やがて、 そそりたつ房総半島の岸壁を右手にして 東京湾に入ると、三浦半島が朝もやの 中に浮くように見えました。  奇妙なリズムの入港用意のラッパが 鳴り響きましたが、非番の者は、既に 上甲板で久しぶりの内地を眺め 回していました。  湾内の漁船から手や帽子を振られて、 迎えてくれ、大淀からもそれに応えて、 みんなで手を振りました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男


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