SSブログ

巡洋艦大淀 船酔いとの戦い [巡洋艦大淀]

スポンサーリンク
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});



 小淵氏は、艦長と航海長の会話を聞きながら、 今にも胸がむかついて吐きそうになるのを 懸命にこらえていました。何度も胃の内容物が、 口の中目掛けて突き上げてきました。  腹の中は、煮え繰り返し、溶岩を噴出する 火山のようでした。それを押さえに押さえて いますが、押さえきれず、ついに口の中 いっぱいに含んでしまいました。  それを懸命に飲み込むと、全身から 油汗が吹き出し、体中に悪感が突っ 走って気が遠くなってきました。顔面から 血の気が引いてゆくのがわかりました。  しかし、しばらくすると落ち着いて、 いくぶん楽になりました。「船に酔って 嘔吐しそうになったら、それを飲み 込むのだ。吐くと癖になる。」と 聞いていたので、実行してみましたが、 難しいものだと感じました。  しかし、当直中にトイレに行くことは 許されませんでした。見張りは、運命が かかっている大事な役目であり、艦長が いる前で不始末ができるわけありません でした。  1時間ほど経ち、嘔吐だけは切り抜け ましたが、なんとも言いようにない不快感は、 少しも薄れませんでした。  小淵氏は、艦長や航海長が言った、 「艦が揺れるほど、腹が減る。」などと いうことが本当にあるのだろうかと 感じました。  翌日になり、あれほど荒れ狂っていた 怒涛も、うねりのみを残して、静かな洋上に なりました。航行中の戦闘分隊員は、 当直時間以外は、本当によく眠って いました。  「朝寝して、夜寝る分も昼寝して、時々 起きて当直に立つ」という状態でした。 古参の下士官などは、「時々起きて、 居眠りをする」ということでした。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男


スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。