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巡洋艦大淀 荒天時の見張り [巡洋艦大淀]

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 昼近くなり、「荒天準備」の号令が なされました。上甲板への出入口は、 完全に締め切られました。  しかし、通気口からも海水が流れ込む ので、艦内の換気は止められ、通気口も シートで覆われました。  甲板上は、波浪が滝のように洗って いました。見張台も吹きつけるしぶきで、 当直者は雨衣を着ていても、濡れ鼠と なりました。  小淵氏は、これだけ荒れた海は 初めての経験でした。1万t以上の 軍艦が、木の葉のように激しく揺れる とは想像もできませんでした。  寝ている人もシートごと滑り出す 有様で、吊床の方が良さそうでした。 夜食には、珍しく汁粉が出ましたが、 小淵氏の胃袋は、30分と保たず、 船酔いと一緒に出てしまいました。  こんな激しい嵐の時は、何もしないで 寝ていたい気分でしたが、朝食が済むと 見張り当直がまわってきました。本来、 見張台にいれば、波しぶきは浴びますが、 船酔いはおさまりそうでした。  しかし、このときの当直は艦橋で、 風防ガラスで覆われて、しぶきが かかることはありませんでした。  艦橋には、篠田艦長と、内田航海長が つめていました。すぐ脇の双眼鏡についた 小淵氏は、緊張しながら見張りにつきました。  艦が激しく揺れている時に、双眼鏡を 覗いていると、目がまわり、頭の中を 何かでかき回されているような不快感が、 襲ってきました。  そのような時に、艦長と航海長の会話が 聞こえてきました。「今日はよくかぶりますね」 「気持ちの良い揺れ方だ」「これくらい揺れて くれると食事も進みますね」「申し分ないね。 昼食が待ち遠しい」というものでした。  小淵氏とは鍛え方が違うようでした。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男


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