SSブログ

巡洋艦大淀 再び歩いて故郷へ [巡洋艦大淀]

スポンサーリンク
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});



 無言だった角田上水に、「そろそろ 行ってみましょう。」とうながされ、我に 返って歩き出しました。風が出て寒く なった上野の山には、人影もありません でした。  小淵氏は、「早く暖かくなってくれると いいのになあ。」と、つぶやくと、角田上水は、 「もう3月になったのだから、もっと暖かく なっていいはずですがね。」と、低い声で 応じてきました。  ホームに入って暫く待つと、ようやく 汽車が入ってきました。乗り込むと、乗客は あまりいませんでした。  車窓から眺める関東平野は、まだ春の 息吹は感じられませんでした。聞き慣れた 駅をいくつか過ぎ、やがて高崎につきました。  雄大な赤城山も中腹から上は、雲に 隠れていました。白衣観音も敵機の 目標になるとかで、解体の噂があり ましたが、巨大な像は残っていました。  やがて、渋川につき、角田上水と、帰りの 時間を打ち合わせて、下車しました。急いで 駅前のバス停に行ってみましたが、今度も バスはありませんでした。小淵氏は、 ためらいもなく歩いていくことにしました。  駅前の大通りを街の中心に向かっていくと、 榛名おろしが土埃を巻き上げて吹きつけて きました。やがて、町の中心部に入り、四角を 右に曲がって歩いていくと、見覚えのある大きな 木橋が見えました。  前は、運良くトラックに乗せてもらえたので、 今回も通りがからないかと期待しましたが、 自動車はおろか、自転車一台来ませんでした。 小淵氏は、自分を叱るようにして歩き出しました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男


スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。