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海防艦205号、台風の中を内地に帰還 [海防艦205号]

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 海防艦205号は、招かれざる客である台風が
おこす荒波に揉まれながらの航海となりました。
艦体が軋む不気味な音が絶えず響き、難破
するのではないかと気になるような航海でした。

 江口氏は、乗艦して1年になりますが、艦の
揺れにまだ慣れませんでした。この時は、
江口氏が苦しんだ最初の東シナ海の
季節風より激しいものでした。

 江口氏は、食事は1日1食お粥だけしか食せま
せんでしたが、以前ほど苦しむことなく、1週間
任務を果たしていました。

 この時、一緒に乗艦していた同僚と、後に再開した時、
この時の台風を、「戦争じゃ生き残れたが、この航海で
難破して死ぬかと思っていた」と述懐しています。

 この台風を抜けた時は、日本に到着していました。
右に大隅半島、左に薩摩半島を見ながら、海防艦
205号は、鹿児島湾に入って行きました。

 子供たちの何人かは、湾に入る頃には、甲板で
はしゃいでいました。桜島が噴煙をたなびかせている
ところが見える頃、大人たちも甲板に出てきました。

 この当時の日本は、文字通り、“国破れて山河あり”の
状態でした。江口氏は、引揚者たちが、この故国を
どのように眺めていたのかと思い巡らせていました。

(追記)
 引揚者が降りて行く時、江口氏は、「本当にご苦労さん
でした。頑張ってください」と励ましていましたが、長い
台風で疲れきっていたのか、江口氏の言葉になんの
反応も示さなかったと記録しています。

 一方で、佐竹艦長も、ここで海防艦205号を退艦して
います。艦と200名もの乗員の命を守り通して無事
退艦できたためか、退艦するときは、帽子を振り
ながら、乗員の盛大な見送りを受けていました。


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