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駆逐艦磯風 人力操舵 [駆逐艦磯風]

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 至近弾を受け、舵がきかなくなった磯風に、艦橋から
矢継ぎ早に伝令が来ました。応援に駆け付けた航海士が、
井上氏に、伝令が伝えてきたことを、復唱していました。

 艦橋からの命令は、人力操舵に舵を切り替えよという
ものでした。井上氏は、新人と、応急員として駆けつけて
くれた磯風乗員らとともに、人力操作用のポンプを押し
続けました。

 井上氏は、これぞ海軍魂と思い、死んでも「やめ」の命令が
あるまで、手を休めるわけにはいかないと感じていました。
この作業は、相当にきつい作業で、井上氏は、油汗は出つく
して、失神寸前になっていました。

 しかし、機関も停止している時に、人力で2500tもある船を
動かすのは無茶な話でした。右への傾斜が激しくなり、浸水して
きたこともあり、「上がって来い」という命令が下りました。

 さらに艦が傾いていき、井上氏は、まっすぐ立っていられない
ほど姿勢がくずれました。井上氏をはじめとした応急員は、
我先に、甲板を目指しました。

 この時は、気力もすっかり失せ、どの顔も死人のように蒼白に
なっていました。天蓋から、海水が瀑布のように流れてきて、
全員濡れねずみとなっていました。

(追記)
 井上氏は、この時、磯風の致命傷となった至近弾で床に
たたきつけられた時、負傷者のようないでたちでした。
打撲による青あざができており、節々は痛みが走って
いました。

 井上氏は、この戦闘で、これだけの怪我をしていましたが、
井上氏は、まだましな方だったといえます。磯風の状況は、
井上氏のケガが擦り傷と思えるほど、悲惨なものとなって
いました。


紹介書籍:駆逐艦磯風と二人の特年兵


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