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駆逐艦磯風 特攻による惨状 [駆逐艦磯風]

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 後部舵取機室から出てきた井上氏は、外の様子を見て、
思わず声を飲みました。大和は、黒煙が数千丈にも達し、
吹き出る煙で辺りが暗くなっていました。赤い炎が怨念の
炎となって燃えさかっていました。

 磯風から500mほど離れたところに、矢矧がおり、
真っ赤な炎に包まれて、断続的に爆発していました。
後部は海中に没しており、二つに折れている格好でした。
周囲にいた駆逐艦も、黒煙を上げ、断末魔の叫びを上げて
いるようでした。

 敵機は、爆弾投下で身軽になっており、機銃の雨を
降らせていました。磯風も、猛襲を受け、上甲板の
機銃員や応急員らが、次々と倒れていきました。

 磯風の傾斜がさらに激しくなり、井上氏がいた後部
舵取機室からは、大ガマガエルがあくびをしたような
音を立てて、空気が出てきていました。水没したため、
室内の空気が漏れている音でした。

 井上氏は、立っていられないほど傾いていたものの、
何とか進んで、機銃員がいるところまで進みました。
機銃員の兵長が、ものにつかまり呆然としている
もう一人の兵士を支えていました。

 井上氏の胸が騒ぎました。支えられていた兵士は、
井上氏と同期の特年兵でした。

(追記)
 支えていた機銃員の話として、「機銃員は、敵機の弾丸に
身をさらしているおで、敵の掃射を受けると、惨めなことに
なる。この時も、2番雷管のあたりが騒がしくなっているので、
誰かやられたという予感がした」と記述があります。

 実際、艦が無事の場合、死傷者となるのは機銃員が
圧倒的に多いように感じます。


紹介書籍:駆逐艦磯風と二人の特年兵


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