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戦艦武蔵 キングストン弁の思い出前編 [戦艦武蔵]

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 著者の豊田氏は、キングストン弁に対して思い出が
あります。

 豊田氏は、戦艦伊勢の甲板長として乗り込んで
いたとき、兵士の一人が軍務の厳しさに堪えかねて、
ビジルのたまる空間に逃げ込むということが起こりました。

 甲板長は、艦の保全と軍機の維持に勤めるのが
仕事なので、呼びにいくことになりました。

 この件について、副艦長から、「キングストン弁を緩める
ようなことがあったら、艦もその兵士も危険なので、専門
下士官と一緒に状況を確かめて、連行するように」という
命も受けており、少尉候補生だった豊田氏は、応諾
していました。

 一方で、飛行機に志願していた豊田氏は、船底に
もぐったことはなく、当惑していました。しかも、
豊田氏はこの当時80kgで、胸囲は108cmの
肥満体だったそうなので、キングストン弁がある
空間にもぐるマンホールに引っかかり、降りられ
ないという状態でした。

 一緒に来ていた下士官に、服にグリスを塗ってもらい
ようやくくぐり抜けることができました。その後も、空中に
交錯していたパイプに挟まれたりして、その度に下士官に
救助してもらっていました。

 艦尾のスクリューシャフトの下部に、キングストン弁が
ありました。懐中電灯が、ビジルにさらされ、錆びた弁の
表面を照らしました。その弁の近くに、うずくまるように
逃げ込んだ兵士がいました。

 逃げ出してから24時間も経っていないのに、恐怖と
不安で若さを失った老人のような姿になっていました。

 豊田氏が、「出て来い。だれもとがめはせん。副長も
心配している」と声をかけましたが、甲板士官だと気づき、
キングストン弁にしがみついて泣き出してしまいました。


紹介書籍:航空巡洋艦「利根」「筑摩」の死闘



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