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戦艦武蔵 キングストン弁を開く [戦艦武蔵]

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 グレーチングのマンホールは、丸いふたではなく、
たたみ一畳敷きほどの鉄板なので重く、開けるのも
一苦労するようなものでした。何とかこじ開けると、
丸い鉄の球状のものが出てきました。

 これがキングストン弁でした。

 丸い鉄の球状のものの中に弁があり、ハンドルを
回すと弁が開き、海水が入ってきます。炭木兵長は、
キングストンという名前がどのような由来による
ものかは分かりませんでした。

 炭木兵長にとって、この弁を開けることは、艦の
終末を意味するものであり、今はこの弁を開ける
ことが、任務でした。

 炭木兵長、萩原機関兵共に、今までキングストン弁に
触ったことはなく、開けたことがある兵士自体が、海軍
でもまれではないかと考えていました。

 二人で、ハンドルを回してみましたが、まったく動きま
せんでした。艦が左に傾きつつある中で、生きて上甲板に
出られる可能性が減りつつある中、炭木兵長は、落ち着いて
原因を探してみました。

 すると、上部に止め金がついているのが見えました。
ペンチで止め金を切断し、二人はハンドルに取り付き、
回してみました。今度は、ギギという音を立てたものの、
動くことはありませんでした。

 武蔵は、進水したのが1940年11月で、まだ4年くらい
しか経っていませんでしたが、完全に錆びついていました。
ドックにいるときに、可動点検をしているはずですが、
キングストン弁を可動させた形跡はありませんでした。

(追記)
 キングストンの名前の由来を、Wikipediaから抜粋して
みると、イギリス人のジョン・キングストン及び、彼が
創業したロサンゼルスのF.C.キングストン社からと
なっています。

 しかも、キングストン弁は、本来は消火や区画注水の
目的で設置されたものであり、自沈専用の弁というのは
誤解だとしています。

 しかしながら、炭木兵長は、自沈専用の弁という認識
だったようであり、武蔵のキングストン弁は、この目的で
しか使用していないといえます。


紹介書籍:航空巡洋艦「利根」「筑摩」の死闘


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