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戦艦武蔵 キングストン弁からの注水 [戦艦武蔵]

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 全く動かないキングストン弁からも、武蔵が
不沈艦と信じられていたことは明らかでした。
しかし、今はこの弁を開ける必要がありました。

 炭木兵長は、萩原機関兵に、梃子で動かそうと
提案し、ドライバーとスパナを、ハンドルの放射線状
金物の間にはさんで、回転させました。

 すると、きしみながらも回り始めました。ハンドルを
回しつづけると、頂部から水柱がほとばしり出ました。

 武蔵は、排水量7万t、そして、現時点では、1万t
ほどの水が、船腹にはらんでいると考えられ、その分の
圧力にふさわしい力で、水が放出されました。

 炭木兵長と萩原機関兵は、全開までハンドルを回し、
水柱は、グレーチングの上部2m近くまで吹き上げ、
ビジル用の空間は、たちまち満水となりました。

 その後、炭木兵長と萩原機関兵は、モンキーラッタルを
伝って上甲板へ帰投ことにしました。現在は、傾きがさらに
激しくなっており、背面になり、ぶら下がって天井を伝って
ゆくような気がしました。

 ラッタルの上部にくると、萩原機関兵は、「これで
第十一罐室は見納めになるんですね。ここが死ぬ
場所だと訓練に励んできたのに」と涙声をあげました。

(追記)
 今回、キングストン弁を開くように命じられたのは、
第十一罐室以外に、第三と第七罐室でした。全て、
右側にある罐室なので、この命令からすると、
副艦長は、艦の傾きを直すつもりで、
命じたとも言えます。

 しかし、炭木兵長は、モンキーラッタルを登っているとき、
副艦長は武蔵を沈めるために、キングストン弁を開くように
命じたと考えていました。

 実際、傾きが直っても、キングストン弁を、閉めることは
できないので、実態は沈めるためということになります。


紹介書籍:航空巡洋艦「利根」「筑摩」の死闘


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