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戦艦武蔵 第十一罐室脱出 [戦艦武蔵]

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 炭木兵長は、涙声をあげる萩原機関兵をどやしつけ、
ラッタルを登っていきました。水は、グレーチングの上1m以上に
達していたので、感傷に浸っていると、脱出前に艦が沈没
することも考えられました。

 マンホールを抜けると、行きと同じように、死体を踏まない
ように注意を与えて、後部へ急ぎました。武蔵は、前方への
傾きも激しくなっていました。

 炭木兵長は、心なしか来るときより死体が増えているように
感じました。帰りの死体が多かったのは、後部へ逃げる途中で、
力尽き倒れた兵士が多かったからでした。

 上甲板に出ると、指揮官にキングストン弁を開いたことを
報告しました。指揮官は、ご苦労という言葉と怪我はないかと
聞いてきました。炭木兵長と萩原機関兵は、帰還するとき、
ラッタルで火傷をおっていました。

 それを見た指揮官は、「総員退去の命令がきいるので、
休む暇はない。すぐ、海に飛び込んで、駆逐艦の救助を
待つように。」という命令がきました。

 炭木兵長は左舷を見ると、既に20度ほど傾いて、
上甲板まで海面が迫っていました。炭木兵長の開けた
右舷のキングストン弁は、傾きの回復にはなって
いなかったようです。

 炭木兵長が、海に飛び込む準備のために、煙火服を
脱ごうとすると、意外な人物から止められました。

(追記)
 炭木兵長は、マンホールをくぐって後部にいくとき、
周りにある死体を見て、行きと帰りで感想が違うことに
気づきました。

 行くときは、「こんなにやられた」と「いつかは、俺も
こうなるのか」と考え、拝む気持ちがありました。対して
帰りは、すべて物体だと思えるようになっていました。

 そのため、火に対する恐怖が頭にあり、体を突き
動かしていたので、死体に対して感情が出てこな
かったといえます。


紹介書籍:航空巡洋艦「利根」「筑摩」の死闘


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