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空母信濃 瀬戸内海に到着 [空母信濃]

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 翌朝、目覚めた電信班班長の耳に、「狭水道通過、
艦内保安配置につけ」の伝声が響いてきました。
駆逐艦乗員は、保安配置があるものは急ぎ部署につき、
その他のものは、上甲板に上っていきました。

 遭難者はやることがありませんが、今の放送で、
駆逐艦が瀬戸内海に入ったことが分かりました。
士官の一人が、「もう命は大丈夫だ。内海に入った
のだから」と、近くにいた遭難者に浴びせかけました。

 この士官は、何の気なしに言ったものでしょうが、周りの
遭難者は、階級による優越風を吹かせたものと受け取り、
嘲られたと感じていました。電信班班長は、拳を握って
いました。

 遭難者は、服を脱がされ、駆逐艦から支給された
簡易の服に着替えていたので、階級は判然としません
でした。そのため、若い兵士は、これ幸いと、我が世の
春を謳歌していました。いつも圧迫されている反動でした。

 朝食になり、昨晩は疲れで食べられなかった遭難者も
餓鬼の根性を露にしてガツガツ食べていました。永い
軍隊生活をしているものは、耐えるという精神が身に
ついているので、このようなことはしませんでしたが、
新参者は、訓練が徹底していませんでした。

 心あるものは、ガツガツ食べる姿に暗い気持ちを、持ち
ました。そして、遠慮もせずに食べている姿を見た駆逐艦
乗員は、遭難者を邪魔者扱いする態度がさらに露骨に
なってきました。

 そして、駆逐艦乗員と信濃乗員の間の決定的とも言える
対立が起こりました。

(追記)
 駆逐艦上委員の態度に対し、諏訪氏は同じ菊の紋章を
戴いている同じ国の海軍が、兄弟垣に攻めるようでは
これからどうなるのかとしています。

 しかしながら、駆逐艦は、菊の紋章を戴いておらず、軍艦という
扱いはされていません。この不満は駆逐艦の乗員は持っており、
大型艦の乗員に対する見る目が厳しくなっているといえます。


紹介書籍:沈みゆく「信濃」知られざる撃沈の瞬間  著者:諏訪繁治(すわしげはる)


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