SSブログ

駆逐艦萩風 横着の功名 [駆逐艦萩風]

スポンサーリンク
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});



 倉橋氏は、自分の失態で砲撃できなかった
件に対して、どれだけ叱られるかと、おどおど
しながら、有賀司令に一礼して頭を下げました。

 すると、有賀司令は、「さすがに偉かった。
軍紀厳正だ。」とほめられました。その上、
褒美としてウイスキーをもらうことが出来ました。

 倉橋氏はおろか、一緒に来ていた岩上艦長も、
キツネにつままれた思いでした。

 実は、昨夜の砲撃については、萩風以外の
3艦が発見したとしているものは、明瞭ではなく、
雲か島を誤認した可能性もあったということでした。
無闇に鉄砲をという無駄撃ちだったかもしれない
という話でした。

 敵地にあって警戒中、勝手に眠ってしまう
というミスをして、軍紀破壊のお叱りをこうむる
と思ったところ、逆に軍紀厳正とほめられた事に
なります。横着の功名でした。

 ウイスキーぐらいなら、事実を白状しなくても、
罪にはならないだろうと考え、艦長と倉橋氏は
顔を見合わせ、苦笑しながら、そのまま無言で
帰ってきました。

 萩風に戻ると、戦死者の水葬をする事に
なりました。信号兵が吹き鳴らす「水漬くかばね」の
ラッパが、涙をそそりました。毛布に包まれた死体は、
焼け縮んでおり、子供のように小さな身体になって
いました。

 昨日まで元気に談笑していた人達が、肉親に
知られることなく、南半球の海底深く沈んで
行きました。

 萩風は、舵故障のまま微速力で、トラック島に
たどり着きました。トラック島の環礁に入ると同時に、
左舷のスクリューが、軸もろともに抜け落ちました。

 幸運であり、僥倖といってよいほど恵まれて
いました。


紹介書籍:激闘駆逐艦隊 萩風・涼月の奮闘記
著者:倉橋 友二郎(くらはし ともじろう)

【お金持ちへの挑戦は100円から】電子書籍プレゼントキャンペーン


スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。