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山口多聞 飛龍沈没 [山口多聞]

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 萬代機関長付は、山本長官の艦隊が、近くに
来ていると判断していましたが、実際は、すでに
ミッドウェー作戦を中止して帰還していました。

 機関長は、甲板にいる機関員を集合させ
ました。すると、脱出不可能と思われた
機関室から100名以上の乗員が脱出して
いました。ここで、どうやって飛龍から
退艦するかを考えました。

 近くにカッターが一隻浮いていましたが、
カッターで100人以上乗ることはできません
でした。後部短艇甲板に行くと、内火艇が
残っていました。これなら全員逃げられる
と判断し、内火艇を降ろすことにしました。

 動力がないので、総員を二分して、ロープを
引っ張って、降ろしました。その作業の途中、
士官が、「総員、海に飛び込め。カッターは
急いで離れろ。」と声を上げました。すると、
飛龍の艦尾が持ち上がり、ドンドン高くなって
いきました。

 たちまち海面から10mほどの高さと
なりました。萬代機関長付は、ロープに
しがみつき、滑り落ちていきました。
萬代機関長付は、海中深く沈み、必死に
もがいて、浮上しました。

 飛龍の巨大なスクリューが、中天高く上がって
いました。不気味なうねり声や、内部で激しく
瓦解する音が交錯しました。艦艇が沈没する時の
断末魔の悲鳴でした。

 萬代機関長付は、慌てて100mほど離れた
カッターへ向けて、必死になって泳ぎました。
作業服に海水が入りなかなか進みませんでしたが、
靴を脱いで泳ぎだした時、腸もちぎれるような
大音響がしました。

 飛龍が沈んでいきました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)


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