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駆逐艦早潮 あせる心 [駆逐艦早潮]

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 岡本氏は、こんな闇夜では、敵機の来襲は
あるはずないと考え、最も恐ろしい魚雷艇の
出現を警戒していました。

 マッチ箱のようなボートの列に、高速で
突っ込んでこられたら、めちゃくちゃに
なるのは目に見えていました。

 少しでも早く進みたいと思いながら、
速度を出せば、曳航している浮舟は
危険になるし、カッターは手漕ぎ
なので、ついてこられなくなります。

 そうこうするうちに隊列は、前方に
進んでいきました。岡本氏は、
双眼鏡を使って、山の稜線を
見ました。

 しかし、山頂は曖昧模糊としており、
先任将校の注意事項にあった特異点は、
見極められませんでした。

 しかも、最も頼みとなる上陸地点を
示す青ランプが、一向に見えません
でした。

 300mは近いので、一気に持って
いこうと考えていた岡本氏の思惑は、
ゆるぎ始めました。

 後方を見ると、早潮の姿は、暗闇の中に
消えていました。不安が募った岡本氏は、
艇長に、「針路が大丈夫か」と怒鳴り
ました。

 それに対し、ベテランの艇長は、
「大丈夫です」と怒鳴り返してきました。

 後続の短艇もはぐれることなく、
必死にあとに続いてきました。
その様は、愛おしかったと
しています。

 岡本氏は、指揮官たるもの、このような
ときこそ、平常心を失ってはならないと考え、
あせる心を抑えて、なおも前進を続けました。

 しかし、不思議なことに、陸地に
なかなか接近できないという不思議な
現象に、悩まされることになりました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介


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