SSブログ

駆逐艦神風 破局がせまる [駆逐艦神風]

スポンサーリンク
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});



 雨ノ宮氏は、四囲の情勢と、目の前の
現実との食い違いが、納得しにくくなって
いました。

 下士官の目がとらえる狭い範囲の戦闘
経過だけで、正確な判断は難しいという
現実がありましたが、破局がせまっている
ことは感じられました。

 敵と渡り合っている第一線の兵士には、
大局を知るすべはないところへ、マイナス
情報を極端に抑え、プラス面はかなり各自の
願望をまじえてとらえていました。

 従って、兵士は、表面的にはのんきに
過ごしていました。しかし、一皮むけば、
そこには、息もつまる終末感がせまって
いて、皆、再び生きて帰れるなど、
思いもしませんでした。

 雨ノ宮氏が、海軍に招集された1943年は、
5月にアッツ島で玉砕し、6月には山本長官が
戦死、1年後のマリアナ沖海戦とレイテ沖海戦で、
航空戦力、主要艦船はほぼ壊滅していました。

 しかし、雨ノ宮氏らには、詳細は伝えられて
いませんでした。そのため、1945年3月26日、
リンガ泊地に停泊していた神風では、水泳したり、
甲板で飼育していた鶏が誤って海に落ち、
大騒ぎで拾い上げたり、スコールによる
沐浴をつかったりといった、のんびりした
日々を過ごしていました。

 しかし、アメリカ軍は、この日、沖縄に上陸し、
嘉手納沖から、本島の土を大きな靴が、ふみ
にじっていました。そして、先日夜襲訓練をした
矢矧と大和は、菊水作戦に参加して撃沈
しています。

 これらのことも、雨ノ宮氏は全く知らされて
いませんでした。しかし、知っていたとしても、
行き着くところまで行くしかなかったのでは
ないかとしています。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介


スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。