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駆逐艦神風 陸軍兵士 [駆逐艦神風]

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 波らしい波もない凪いだ海。そのままの
姿勢で沈めば、おそらく、上甲板スレスレの
深水しかなかったと思われます。しかし、
足柄は横倒しになったようでした。

 神風は、海面下に逃げ込む敵をとらえんと、
付近を高速で走り回り、爆雷を投じて、
ソナーを下ろして探索し、ソナーを
あげては爆雷投下を、繰り返しました。

 掃海戦をしつこく繰り返した後、次第に
足柄の沈没箇所に近寄っていきました。
ちょうど、足柄の艦型そのままに、おびただしい
陸軍兵士が、鉄兜を背負い、波間に集合して、
「勝ってくるぞと勇ましく・・・」の一大合唱を
始めていました。

 やがて、風模様が変わったのか、うねりの出た
海面に高くなり、低くなり、それでも歌は続いて
いました。

 暗号長が、「歌ってやがる。」と、雨ノ宮氏の
後方から声をかけてきましたが、雨ノ宮氏は、
返事できませんでした。

 兵器を命より大事にする陸兵らしく、白布をまいた
小銃を、海水から守るように両手をさしあげ、懸命に
喉をからして、歌っていました。神風は、救助活動を
はじめました。

 助け上げた陸軍兵士と、足柄の乗員で、神風は
混み合ってきて、隙間という隙間、機銃の下から、
舷側ハンドレールのかたわらで、どこもかしこも
すしづめとなりました。

 この状態は、羽黒の乗員を救助した時より、
ひどい満員状態で、神風自体、左舷に5度ほど
傾斜したまま、甲板士官や甲板下士の整列命令
にもかかわらず、一向に復元しませんでした。

 この日も美しい夕焼け空で、なんとも象徴的な
日没になりました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介


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