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駆逐艦神風 終戦の日 [駆逐艦神風]

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 終戦の日、神風は沖に出て、機密に属する
不要品や書類などを集め、中甲板に燃える
ドラム缶で焼却したり、海中に投棄しました。

 その中には、暗号関係のもの、赤本その他が
ありましたが、電探室の機器も含まれていました。
電探員総出で機械を取り外し、力づくで甲板に
引き出しました。

 重い受信機や定電圧調整機などから、
順次、「レッツゴー」の号令で、波の上に
突き落としました。

 どれも、相当手を焼かされた代物であり、
生死をともにし、血肉を分け合った気難しい
相棒でした。

 搭載して8ヶ月、危うい時は、不思議と
よく働いたと、電探員の皆が、胸裡に
熱いものが逆流していました。

 平野兵長が、「くやしいすね、電探長」と
つぶやき、雨ノ宮氏は、黙ってうなずき、
「電探の最期だな。」と一言だけ答えました。

 一方、比較的軽い電磁ラッパは、ハンマーで
叩き潰していましたが、必要以上に執念深く
叩きつけており、高井電測士が、「それくらいに
しておけ。」と声を掛けるまで続けていました。

 しかし、電磁ラッパは、見る影もなく変形して
いたにもかかわらず、なかなか沈まず、しばらく
してから傾きながら、波に没していきました。

 がら空きになった電探室は、物置より
索漠とした感じになり、雨ノ宮氏その
空しさの中で、思いっきり椰子酒などを
飲んで、泥酔しました。

 神風は、セレター軍港に帰還し、春日艦長が
終戦の詔勅を拝読し、兵員整列の中央で、
軍艦旗をうやうやしく焼却しました。

 そして、半旗の下、大砲と機銃を俯角
いっぱいに下に向かせ、国辱にならない
ように、艦内の大掃除をしました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介


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