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巡洋艦矢矧 池田武邦中尉 [軽巡洋艦矢矧]

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 改めて空を見ると、F6Fが低い雲の中を
見え隠れしていました。

 背後の電波探信儀は、井上氏ら視覚見張りに
先を越され、いささか焼け気味に電探器を
旋回させていました。しかし、まだ何も
発見できませんでした。

 その電探器室から、池田武邦中尉(以前
紹介した池田氏です)が、顔を見せました。
池田氏は、以前は航海士でしたが、今は、
電探器指揮の第四部隊長をしていました。

 井上氏は、池田氏に、「航海士から、
航海長に格上げ転勤はできませんか。」と
言葉をかけたことがありました。

 池田氏は、「それだと、航海専門になる。
何でも経験しておけば、艦長になった時都合が
いい。」と返答しています。井上氏は、未来の
提督は、艦長になったときのことを考えている
ようだと感じました。

 井上氏は、普段は疑うことを知らない
好人物であり、人のいい池田氏も、今日は
機嫌が悪いのか、ブスッとしていると
感じました。

 井上氏と目があいました。すると、池田氏の
顔が崩れました。「見張員長。あまり電探を
いじめるなよ。」と言ってきました。

 井上氏は、「それはどうも。でも、いじめると
思わないで、先に発見してくださいよ。」と受けて
います。

 池田氏は、「負けるものか。うちの電探員は
優秀だからな。それより、見張りが先手を
うつから電探員が気の毒だ。今度は、そうは
いかんぞ。電探に負けないよう、見張りも
頑張れ。」と言ってきました。

 井上氏はお礼を言って受け流しました。
部下思いの池田氏は、直属の電探員をうまく
激励しているようでした。

 そのくせ、以前の同じ分隊だった見張員も
やはり可愛いらしく、両方を督励する指導は、
艦長級だと感じていました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平


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