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巡洋艦那智 追撃戦 [巡洋艦那智]

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 逃げた駆逐艦の追撃に移った日本軍は、
那智が、艦内に引き揚げた3機の航空機の内、
使用に耐える1機に、30kg爆弾2発を、
取り付けて、射出しました。そして、逃げる
敵を、追いかけました。

 敵駆逐艦を発見した航空機は、爆弾を
投下しました。爆弾は、命中はしません
でしたが、艦尾に至近弾を得て、まもなく
敵艦は、行き脚を止めました。

 そこに、足柄と羽黒が追いつき、牛刀の
雨あられ(20cm砲の斉射)で、南海の
海底深くに沈んでいきました。

 戦いは完全に終わり、ジャワ海の
制海権は、ついに日本軍の手に
落ちました。

 この間も、ジャワ島の上陸したわが陸軍
部隊は、破竹の進撃を続けており、ジャワ
全島の制圧は、時間の問題となりました。

 砲声はやみ、硝煙の消え去った熱帯の海に、
再び、静かな夕暮れが、おとずれました。

 翌日、那智は、使い果たした燃料と砲弾を
補給するため、戦場を去り、船脚も軽く、
ケンダリー湾に向かいました。

 その間、萱嶋氏は、激しかった戦闘に思いを
巡らせ、しばし、感無量の境地に、ひたって
いました。

 同時に、多くの過失を重ねながら、稀有の
大勝を博したわが軍の戦運の強さを、今更の
ように神に感謝しました。

 この戦いは、終局のところ、最小の損害を
持って、最大の戦果をおさめて、大勝利に
終わったといえます。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平


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