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巡洋艦熊野 サンタクルーズからの別れ [巡洋艦熊野]

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 送別会は、夕食会と一緒に行われ、
社員代表の送別の辞に続いて、白石
砲術長が謝辞をのべて、ヤシの酒で杯を
あげました。

 サンタクルーズには4日間の滞在
でしたが、惜別の情が深かったと
言えます。

 その夜に、陸軍から、「付近のゲリラが、
夜間に潜水艦と信号を交わしている疑いが
ある。今も、沖の島に怪しい光を認めたので、
捜索する。輸送をお願いしたい。」という
ことでした。

 左近允氏は、加茂川少尉と1隻ずつ、
ボートを指揮して、出かけることに
なりました。

 桟橋で、武装した兵隊を乗せたカッターを
曳航して沖に出ました。海は、黒い鏡のように、
静まり返っていました。

 この下に、人見艦長以下400名もの乗員が
眠っていると思うと、名状しがたい厳粛な
気持ちになりました。この夜の捜索では
何ら得るものなく、サンタクルーズに
引き返し、最後の寝につきました。


 翌日の11月29日、マニラに向かう日と
なりました。正午過ぎに哨戒艇が入港し、
桟橋に横付けしました。真新しい、緑色の
作業服、白のズック靴、戦闘帽、石鹸、
タオルを支給されました。

 撤収と言っても、なにほどのことはなく、
内火艇は、警備隊に移管され、遺体
収容班は、あと数日残って作業する
ことになりました。遺体は顔もすっかり
変わり、名前の確認さえ困難でした。

 遺体回収に従事している藤島少尉から、
遺体を海岸に並べたら、側にオオトカゲが
いた話や、遺体を回収しようとしたら、サメに
足を持っていかれたという話を聞くことが
できました。

 彼ともひとまず、お別れとなりました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平


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