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巡洋艦五十鈴 独断の号令 [巡洋艦五十鈴、摩耶]

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 やがて、明け方となり、東天がかすかに
白みかける頃、井上氏が、ベッドに
横たわっていると、突然、「総員配置につけ」の
非常ベルが全艦内に鳴り渡りました。

 防暑軍衣のまま寝ていた井上氏は、
一大事と艦橋に駆け上りました。
当直将校が、「敵機空襲」を口早に
報告してきました。

 指差す方を眺めると、数十機の敵艦上機が、
獲物に襲いかかるように、旋回しつつ
ありました。

 これはまずいことになるかも知れないと
思い、井上氏は、独断で、「機関全速力、
即時待機」「戦闘用意」「前部員、
出港用意」「対空戦闘」の号令を
矢継ぎ早に下しました。時刻は、
午前5時前でした。

 艦長が艦橋に上ってきました。艦長も、
次々と号令をかけて、戦闘の指揮を
とりました。

 井上氏は、出来るだけ早く出港する
必要があると判断し、機関室にエンジンが
使用可能になる、時機を問い合わせると、
15分かかるということでした。

 その間にも、主砲や対空機銃は、一斉に
火をふき、あたりはすさまじい轟音で、
耳もつんざくばかりでした。見張員からは、
敵機の動静が刻々艦橋に報告され、
敵戦闘機が、まさに急降下態勢に
入ろうとしていうのが、手に
とるように分かりました。

 航海長の井上氏は、エンジンの準備状況が
どうであれ、座して撃沈されるわけには
ゆかないと、また独断で、「両舷機、
前進一杯。」を令しました。

 この時、錨は、もう少しで揚がり終わる
状況でしたが、間に合わなければ、前進下命と
同時に、錨作業の人員を退避させ、ケーブルを
自然に切断し、強引に出港する決意でした。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平


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