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巡洋艦五十鈴 舵きかず [巡洋艦五十鈴、摩耶]

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 一瞬の時間ももどかしいと感じていた
井上氏は、艦橋の速度計を確認しました。
喜ぶべきことに、五十鈴のエンジンは、
前進回転をはじめていました。

 これでよしとホット息を抜いた途端、
敵機の1弾が、艦の後部に命中したようで、
船体に激しい振動を感じました。しかし、
井上氏は、操舵に熱中しました。

 現在、狭い環礁の中を航海しているので、
全力を出すわけにはいかず、「両舷機、
前進強速」を令しました。

 後部からの被害の報告はきませんでしたが、
火災は起きていないことから、大きな
被害ではないと判断しました。

 しかし、艦の行き脚がつくに従い、舵が
きいていない事が分かりました。その直後、
艦が同じ方向にぐるぐる回り出しました。

 井上氏は、すぐに、「応急操舵、配置につけ」
を下命すると、爆弾回避のためには、そのまま
動いている方が安全と考え、そのまま泊地を
グルグル回ることにしました。

 その時、井上氏の視線の先150mくらいの
行く手に、南洋特有の珊瑚礁が、白く見えました。
舵がきかない上に、空襲中の五十鈴が、珊瑚礁に
向かっているという状況で、今から機関を
停止しても、座礁は必至でした。

 万事休すと考えた井上氏は、艦長に、
「このまま乗り上げます。」と報告するや、
被害を最小限にするため、「両舷停止、
後進いっぱい」と、号令しましたが、
その時には、五十鈴は、珊瑚礁に
乗りかかっていました。

 座礁を覚悟していた井上氏に対し、天佑か、
神力か、艦は微動すらせず、珊瑚礁を通過
しました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平


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