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巡洋艦大淀 東海道線 [巡洋艦大淀]

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 休暇が許可され、小淵氏は、3月7日に 出発しました。  朝食を済ませ、前甲板に集合した休暇組は、 持ち物の点検を受けました。みな、シンガポール からの土産物を持っていたので、税関吏の検査が ありました。しかし、高価なものは持っていないので、 何事もなく済みました。  呉駅のホームは、物凄い混雑でしたが、広島で 乗り換えた東海道線は空いており、小淵氏は、 角田上水と一緒の席に座れました。角田上水は 利根郡の岩本なので、渋川まで一緒でした。  各駅停車の東海道線は、いやにゆっくりと 走っていました。それが、何とも無駄な時間を かけているように思えました。空は鉛色になり、 社内も寒が身にしみてきました。  外套はシンガポールで陸揚げしており、 雨具を着ているせいと感じました。日没になると、 窓には暗幕が引かれ、車外をのぞいても灯火 管制で明かりが見えませんでした。  時々、汽笛が悲鳴のように響き、半眠りの 朦朧とした目を開けてみても、まだ故郷は 遠いようでした。やがて夜が明けましたが、 ここでは総員起こしはかかりませんでした。  暗幕を引いて見る空は晴れているものの、 いやに寒い日でした。汽車はどこかわからない ものの、海岸沿いを走っていました。  見るともなく眺めていると、海岸に打ち寄せる 波が砕け散って、ますます寒さを誘うようでした。 仕方なく目を閉じてうつらうつらと、何時間かして いると、角田上水の、「東京についた」という声が しました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男


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