SSブログ

巡洋艦大淀 配達されない電報 [巡洋艦大淀]

スポンサーリンク
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});



 角田上水の、「東京についた」という声で、 うつらうつらしていた小淵氏は、ハッとして 窓の外を見ました。  東京は、B29の空襲で一面焼け野原になって しまったという噂を聞いていたので気になって いましたが、焼け跡らしきものは、視野に ありませんでした。角田上水も、「噂ほどでは ないようです。」と答えていました。  上野に着いたのは、昼少し前でした。乗り換えの 上越線は、出るまで二時間近くありました。そこで、 亀戸と浅草にいる姉に一緒に帰郷しようと思い、 電報を打ちました。  駅備え付けの電報用紙に記入し、掲示してある 料金の切手を貼り、受付に差し出しました。すぐに 届くだろうと胸をときめかせていると、係員から、 受付けられませんと突き返されました。  小淵氏は、なぜなのか尋ねると、近距離だから 配達しないということでした。小淵氏は、近くだから すぐに届くと思っていたのが、近場だから配達 しないと言われるとは、夢にも思いませんでした。  帰りの汽車を確認していた角田入水が戻って きたので、西郷さんの像の前で弁当を食べることに しました。休暇組の者には、4食分の弁当が配給 されていました。経木に包んだ麦飯弁当でした。  しかし、外食はできないので、これが唯一の 頼みでした。この弁当を広げると、みすぼらしい 姿をした12~13歳くらいの少年が二人近づいて 来て、小淵氏らをじっと見つめていました。  東京は、乞食が多いと聞いていましたが、こんな 子供までがと、小淵氏は不思議い思いました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男


スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。