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巡洋艦大淀 味わったことのない痛恨 [巡洋艦大淀]

 巡検の将校に殴られたことを分隊員には 知らせないで欲しいと祈っていた小淵氏 でしたが、居住区に戻ると下士官が 怒鳴りつけられていました。  副直将校が去った後、詫びようと中に 入ると、兵曹に殴られました。小淵氏は、 殴られるなければこの場はおさまらないと 思っており、普段鉄拳をふることのない 兵曹から殴られることに感謝しました。  何度となく鉄拳が往復しましたが、別の 兵曹が止めさせました。「艦がこうなっては、 今更どうしようもない。」という、兵曹の一言で、 皆黙ってしまいました。  今まで、味わったことのない痛恨が全員の 胸に突き刺さっていました。 (追記)  上級者のために毛布を探すために発令所に 行こうとし、開けるつもりのない扉に手を 掛けただけで将校に殴られ、その上、 毛布を探していた理由である上級者の 兵曹から、さらに殴られるという状況は、 個人的には全く納得の行く話ではありません。  しかも、上記の状況を見ると、大淀が被弾した ことに対して感情の行き場がなく、たまたま、 怒られるいわれもないことで将校から怒られた 小淵氏に八つ当たりしたようにしか感じません。  さらにおかしいと感じるのは、小淵氏の態度 です。「殴られることに感謝した。」というのは、 この状況を客観的に見るば、異常な態度と 感じます。  逆に言えば、日本軍は、これが普通だった ということで、いかに日本軍が異常だったかを 示すものといえます。  なお、次回紹介しますが、個人的には、 小淵氏以上に投げられなければならない 人物がいると感じています。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 一度に疲れが押し寄せる [巡洋艦大淀]

 日没後も、艦内作業は続きました。 昼食も取らないのに、あまりにも大きな 衝撃を受けたため、空腹や疲れを 感じませんでした。  午後10時過ぎ、各種の処置を済ませた 小淵氏らは、居住区に集まってあり合わせの 乾パンや缶詰などで夕食をとりました。  この頃になって、一度に疲れが押し寄せ、 みんな茫然としていました。まだ、悪夢から 覚めきっていませんでした。  この夜は、床に敷かれた帆布の上で寝る ことになりました。吊床もベッドも、セレタ軍港に 荷揚げしてしまったので、これまでは、戦闘 配置に待機所で寝ていました。そのため、 毛布などはいくらもありませんでした。  兵は仕方ないとしても、上級者にはなんとか しなければなりませんでした。一水が、「発令所 には、焼けていない毛布があるはず。」と言う ので行ってみましたが、密閉消火中であり、 素手では開きそうにありませんでしいた。  そこに折り悪く副直将校が士官室から 出てきました。これを見て、一緒にいた 一水は逃げてしまいましたが、小淵氏は 逃げるわけにも行きませんでした。  そして、「そこを開けたら、艦内は たちまち火の海になってしまうのだぞ。」 と言って、数度頬を見舞った上で、怒鳴り つけてきました。そして、巡検のため、 後部の兵員室に向かっていきました。  分隊の居住区に言ってこのことを注意 されるとまずいことになると考え、「分隊員 には知らせないでもらいたい。」と、祈る ような気持ちで巡検の通った居住区に 戻りました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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