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山口多聞 山本五十六、連合艦隊司令長官に就任 [山口多聞]

 独ソ不可侵条約の締結により、内閣の面目が
つぶれた平沼内閣は、「欧州の天地は複雑怪奇
なる新情勢を生じ・・・」という、この文面自体が
複雑怪奇な声明を残して総辞職しました。

 この「複雑怪奇」は、当時の流行語になりました。


 8月30日に、阿部信行内閣が成立しました。
板垣陸相と米内海相は、閣外に去り、新陸相に
畑俊六大将、新海相には、連合艦隊司令長官の
吉田善吾中将が就任しました。

 吉田中将は、山本長官と同期であり、
山本長官は、米内海相に、三国同盟阻止と、
アメリカ戦争反対のため、吉田中将を補佐
したいので、留任させてくれるように懇願
しました。

 米内海相は、気持ちは分かるものの、留任
させれば、暗殺される可能性が高いことと、
同期が次官では吉田中将も気をつかうだろうと
判断し、連合艦隊司令長官をやってもらうことに
しました。戦艦長門にいれば、暗殺の危険は
ないという判断でした。

 山本長官は、二の区が告げませんでした。
しかし、海に焦がれていた上に、連合艦隊
司令長官は、日露戦争で負傷して以来、
夢のまた夢だった山本長官は、「存分に
勤めます。」と返答しています。

 山本長官が、連合艦隊司令長官に就任した
直後、欧州から電撃的なニュースが入って
きました。9月1日、ドイツ軍が、ポーランドに
進攻し、3日には、イギリスとフランスがドイツに
宣戦布告しました。

 第二次世界大戦の始まりでした。

(追記)
 独裁国家は、攻め込む国を安心させる
ために、条約を結んで安心させた上で、
攻め込むということを平気で行います。

 これは、日本でも戦国時代、当たり前の
ように行われており、世界史でも何度も
あることで、「複雑怪奇」という事は
ありません。


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著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 山本長官の遺書 [山口多聞]

 大陸での戦線が拡大することに、大本営は、
限界があると判断し、蒋介石の政権を支援する
欧米諸国の支援ルートを水際で断つ方針を
固めました。

 その第一弾として、フランスの勢力範囲に
ある海南島を押さえ、物資の流入を遮断する
作戦を立てました。

 平沼内閣では、防共協定強化(同時に、
日独伊三国同盟締結となります)を巡って、
板垣陸相と米内海相が真っ向から対決
しました。

 反対の立場だった米内海相と、当時次官
だった山本五十六長官と、井上軍務局長は、
右翼団体から脅迫されました。

 山本長官は、5月31日に「述志」と題した
遺書をしたためました。「一死訓告に奉ずるは、
素より武人の本懐のみ。豈(あに)戦場と
銃後を問はむや。」という書き出しでした。

 戦場ではなく、陸上勤務している時に、
暗殺されるかもしれないが、国に報いるために
信念を貫いて死ぬのであれば、それもやむ
をえない。と自分に言い聞かせるような切実な
文面でした。

 この遺書は、後に、山本長官が前線を
激励するためにラバウル基地を飛び
立った時に、撃墜されて戦死した後、
次官室の金庫から発見されました。
山本長官は、武人らしく戦場で最期を
迎えたことになります。

 平沼内閣は、ドイツから提案された三国同盟を
巡って論争を繰り広げていましたが、8月23日に、
ドイツとソ連が不可侵条約を締結したことで、
内閣の面目は丸つぶれとなりました。

 (三国同盟の主旨は、ドイツと手を組んで、
東西からソ連を挟み撃ちにすることですので、
ドイツとソ連が手を組んだら、同盟自体が
無意味になるということです)。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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