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山口多聞 96式陸上攻撃機に搭乗 [山口多聞]

 7月のはじめ、山口少将は、96式陸上
攻撃機に搭乗しました。特別に爆弾を
2個降ろし、指揮官用の席を作りました。

 第一~第三の各連合航空隊は、午前8時、
漢口とその近郊にある孝感の両基地から
離陸し、重慶を目指しました。漢口から
重慶までは800kmほどありました。

 護衛は、96式艦上戦闘機でした。96式
艦上戦闘機は、全金属製の低翼単葉機で、
速度は最大430kmほどでましたが、
航続距離が短く、重慶の手前200kmの
ところで、引き返す必要がありました。

 日中戦争は、欧米諸国の戦闘機の実験場と
なりました。支那軍は、アメリカやイタリア、
イギリス、ソ連とさまざまな国の機体を使用
していました。

 パイロットも、アメリカ人や中国人、フランス人、
イタリア人、ドイツ人、ロシア人と多国籍軍の
様相でした。

 日本軍の96式艦上戦闘機は高い攻撃力を
有しており、諸外国の戦闘機を次々に落として
いました。そのため、南京、北京、漢口といった
主要都市では、日本軍に制空権がありました。

 しかし、重慶では、途中から引き返すことになり、
途中で陸上攻撃機とすれ違うことになりました。
この光景を見た山口少将は、頼みの綱に去られた
心境になり、心細くなりました。重慶爆撃時に
搭乗員が感じていることでした。

 重慶上空に来ると、対空砲火が始まりました。
砲弾は、下の方で炸裂しており、攻撃機までは
届きませんでしたが、爆風に煽られ、機体が
激しく揺れました。

 そして、「敵、戦闘機、接近」という搭乗員の
声が聞こえてきました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 同期生との宴会 [山口多聞]

 飲もうと決めた晩、4人は、漢口で杯を
あげました。同期しかいない気安い宴席
だったこともあり、飲むほどに酔いが回り、
放言が出てくるようになりました。

 兵学校時代の武勇伝を肴にし、戦場にいる
高ぶりが酔いを加速させていました。ここで
大西少将が、腹にたまっていた山口少将の
訓示に対して、突っかかってきました。

 「おい、多聞。貴様は、重慶爆撃は慎重に
しろと言っているが、こちらの被害をみてみろ。
向こうは、市街地に陣地をつくり、対空砲火を
している。そろそろ、市街地へ絨毯爆撃を
するべきじゃないか。」というものでした。

 山口少将は、訓示の通り、各国の大使館も
あることだし、軍事施設にしぼるべきだ。」と
反論しています。

 しかし、大西少将は納得せず、酔った勢いも
あり、「へっぴり腰」となじり、山口少将は、酒を
大西少将に浴びせました。

 大西少将は、「やりやがったな」と反論し、
兵学校時代の荒武者に戻りました。山口少将も
望むところでした。

 2人は肉弾戦になり、他の2人にとめられる
という状況になりました。大西少将も山口少将も
力を抜き、飲み直そうということになりました。

 そして、山口少将は、「俺だって重慶は
徹底的に攻撃したい。しかし、非戦闘員を
殺せば、女子供も犠牲になる。

 もしも、妻子を殺されたら、俺は鬼となって
復讐するだろう。支那人も同じだ。それだけは
わきまえるべきだ。」としています。

 これに対し大西少将は、「戦場はまともな
精神ではいられない。狂気だいうことを知る
べきだ。特攻精神がない者は、すでに敗者だ。」
としており、素面では絶対に語らない戦争論を
吐いていました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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