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山口多聞 空母攻撃隊発艦 [山口多聞]

 4月9日午前11時45分、機動部隊として
始めての敵空母攻撃隊が発艦しました。
攻撃隊の指揮官は、翔鶴の高橋赫一
(かくいち)少佐でした。

 この時、山口少将はじりじりしていました。
ハーミスが囮で、反対海域に新鋭空母が
控えていて、全機が発艦してきたら、上空の
零戦隊は、空母を護りきれないどころか、
全滅する危険性がありました。

 山口少将は、この時点でも、索敵機を360度
飛ばせればいいがと考えていましたが、司令部
からの命令はなく、不安にかられながら、攻撃隊の
報告を待ちました。

 敵空母との距離から、攻撃隊が攻撃を
仕掛けるのは約2時間後と考えられました。
山口少将は屋上にある直衛指揮所甲板に
上がりました。見張員が、大型双眼望遠鏡で
四方を監視していました。

 山口少将は、上空を見上げました。空は静か
でしたが、不吉な予感がしました。山口少将は、
羅針盤艦橋に降りました。その時、見張員から、
「敵機来襲」という声が伝声管を伝わって山口
少将のいる羅針盤艦橋に届きました。

 続いて、「利根の方角。水柱。」という報告が
来ました。見ると、凄まじい水柱の中に、利根は
消えていました。「やられたか」と考えましたが、
利根は、巨大な水のクレーターから姿を現しました。

 そして、上空から空気を裂くような独特の音が
聞こえ、前方を行く赤城の周りに水柱があがり
ました。山口少将は、「矢張り別の空母がいた。」と
思いました。そして、大きな失態を犯したと思いました。

 しかし、爆弾を投下したのは、双発の陸上機で、
艦上機ではありませんでした。地上基地から出撃
してきた攻撃機のようでした。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 空母対空母 [山口多聞]

 艦上攻撃機による800kg爆弾の上空3000m
からの水平爆撃で、港湾とその周りで、水柱や
紅蓮の火焔があがり、91発もの800kg爆弾を
浴びたところは、クレーターが出来上がりました。
爆発の衝撃波が、上空まで伝わってきました。

 淵田中佐の搭乗機も突き上げられるように
揺れました。双眼鏡で見下ろし、黒煙の合間
から、軽巡洋艦1隻、商船3隻が傾むいたり、
沈んでいるのを確認しました。

 午前10時55分、セイロン島の南東海域を
索敵していた哨戒機から通報が入りました。
そこには、「空母ハーミス、駆逐艦3隻見ゆ」と
いうものでした。山口少将は、矢張りいたかと
思い、初の空母対決に心ははやりました。

 ここで、山口少将は、旧式の小型空母のみ
1隻でいるという状況は考えられず、最新鋭の
インドミダブルとフォーミダブルも近くにいる
はずであり、ハーミスは囮ではないかと
考えました。

 山口少将は、あらゆる可能性を考えました。
その時、赤城から信号が送られ、「艦上爆撃隊
および、戦闘機は出発準備をなせ。空母攻撃。」
というものでした。そして、艦隊は、敵空母がいる
針路180度に艦首を向けました。

 蒼龍の艦内スピーカーから、敵空母発見の
報が流れ、乗員は勇み立ちました。各分隊長は、
「急げ。向こうから艦上機が飛んでくる。」と声を
張り上げていました。

 昇降機が、チンチンと音を発し、格納庫から
飛行甲板に艦上爆撃機が揚げられ、折りたたんで
いた翼を広げて三列に並べられていきました。

 艦上爆撃機は、85機ありました。しかし、零戦は、
トリンコマリーと、空母の上空警戒のためほとんど
飛び出しており、援護できるのは9機しかいません
でした。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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