SSブログ

山口多聞 トリンコマリー攻撃 [山口多聞]

 機動部隊は、コロンボの反対側にある
トリンコマリーに向かい、100海里手前の
地点に達しました。

 攻撃隊の機体は甲板に整列し、整備員に
よって暖機運転が行われていました。
艦首から蒸気が噴出され、甲板上を
流れていきました。

 午前9時、淵田中佐の指揮官機を先頭に、
攻撃隊が発進しました。攻撃隊は、800kg
爆弾を抱えた艦上爆撃機91機と、零戦38機、
合計129機でした。

 巡洋艦からは、海上を哨戒する水上機が、
カタパルトから勢いよく射出されました。当初は、
全機の攻撃を考えていましたが、用心のため、
半数の艦上機を残しておきました。

 敵の機動部隊がいることは確実でしたが、
どこにいるかは不明でした。このような状況から、
山口少将は、もっと索敵機をだせと命じました。

 しかし、司令部は、索敵は巡洋艦の役目と
考え、無視しました。山口少将が機動部隊の
参謀なら、迷わず零戦数機を、周辺の海域に
飛ばしていました。

 攻撃隊がトリンコマリーの上空にさしかかると、
数10機の戦闘機が上昇してきました。零戦隊は、
これまで同様、小回りをいかして回りこみ、機銃を
浴びせました。逆に後ろに着かれた時は、宙返りで
切返していました。

 インド洋の上空は、赤黒い炎と煙によって、
何本もの太い線が描かれ、墨汁を流し込まれた
ように汚れていきました。敵の編隊は総崩れとなり、
逃げていきました。

 しかし、上空には、航空機の邪魔をするための
気球が多数浮かんでおり、対空砲火も激しく
行われていました。このような中で、攻撃隊は、
800kg爆弾を3000m上空から投下しました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
nice!(0)  コメント(0) 

山口多聞 大きな教訓 [山口多聞]

 蒼龍、飛龍から各18機、赤城から17機、
合計53機の攻撃機が発艦しました。飛び
立った後、利根から、駆逐艦ではなく、
ケント型巡洋艦2隻という連絡が来ました。

 これで、機動部隊司令部は眉を曇らせ
ました。幕僚からの、「巡洋艦なら、800kg
魚雷でないと撃沈できない。」という意見をとり、
南雲長官は、あわてて雷撃機の発進を命じました。

 その頃、江草少佐は、「敵見ゆ」と打電し、
「突撃せよ。一航戦は、一番艦、二航戦は、
二番艦をやれ。と命じました。その頃になり、
ようやく、雷撃機の発艦準備を終え、翔鶴
一番機の発動機を唸らせました。

 しかし、司令部の判断をあざ笑うように、
江草少佐の攻撃機は、2隻の巡洋艦に、
急降下爆撃を行い、53発中47発の
命中弾を与えました。

 88.6%という驚異的な命中率でした。
これだけの爆弾を浴びた2隻の巡洋艦は、
撃沈しました。

 江草少佐からの、「敵大巡2隻沈没。」という
報告を受けた司令部は、「もう撃沈したのか。
ついさっき攻撃したばかりなのに。」と呆気に
とられ、狐につままれたような気分になりました。
そして、幕僚らは、あわてて、雷撃機の発艦を
中止しました。

 この時沈めた巡洋艦は、1万tもある艦艇
でしたが、急降下爆撃による、通常爆弾で
撃沈できると知らしめました。山口少将は、
このとこから、危険を犯す雷撃機に固執する
必要はないという教訓を得ています。

 「同時に、空母も急降下爆撃を食らえば
やられることになる。」というミッドウェー
海戦の失敗を先取りする教訓を引き出して
います。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
nice!(1)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。