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山口多聞 兵器の換装 [山口多聞]

 魚雷から陸上爆弾への切換を命じられた
格納庫では、大騒ぎとなりました。航空魚雷は、
5.43mで852kgもあるので、これを外して、
陸上爆弾に切り替えるのは、大変な労力を
必要としました。

 第一次攻撃隊が戻ってきましたが、予期せぬ
兵装転換の命令で、各空母の甲板や、格納庫は
パニックになっていました。そのような時に、
索敵をしていた利根から、「敵巡洋艦2隻発見。」
との報告が入りました。

 この命令を受けた南雲長官は、巡洋艦なら
魚雷が必要という正攻法にこだわり、魚雷に
積み替えるという命令を出しました。この
命令を聞いた山口少将の眉は釣りあがり
ました。

 「こんなことをしていて、敵に攻撃されたら
こっちがやられる。艦上爆撃機を飛ばせ。」と
考えており、胃が痛んできました。その後、
索敵機から、駆逐艦だという報告が入り、
この報告を蒼龍で直接聞いた山口少将は、
爆撃機を飛ばすように命じました。

 機動部隊司令部も、駆逐艦なら爆弾でも
大丈夫と判断し、ようやく艦上爆撃機の攻撃を
命じました。

 艦上爆撃機の指揮をとっているのは、蒼龍
航空隊の江草隆繁少佐でした。江草少佐は、
卓越した統率力で、練度を上げており、艦上
爆撃機としては、完璧といえる水準に達して
いました。

 山口少将は、艦橋の飛行甲板で、江草少佐を
見送りました。「司令部をあっと言わせてやれ。」
という山口少将に対し、「任せてください。」と
江草少佐は返事しています。

 江草少佐は、「鬚の隊長」として知れ渡るほどの
立派なカイザー鬚を生やしており、この鬚をピクリと
動かして、山口少将に返事しています。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 イギリス航空機との空中戦 [山口多聞]

 第一次攻撃隊は、午前10時45分、
コロンボ上空に達しました。

 小さな金属製の輝きが、前方に現れました。
イギリスの戦闘機でした。零戦隊は真っ向から
勝負を挑みました。

 迎撃に来たのは、ハリケーンと、フルマーの
42機でした。零戦は、小回りが効き、格闘性に
優れていました。そして、実戦経験が長い、
ベテラン搭乗員が多数いました。

 イギリス海軍の航空隊の戦法は、水平旋回が
中心で、宙返りなどの縦軸で飛び回る零戦には、
ついていけませんでした。たちまち後方に回り
こまれ、20mm機銃を浴びせられました。

 零戦は30分ほどの空中戦で、19機撃墜し、
敵戦闘機は退避して行き、足の遅い艦上
攻撃機に狙いを定めました。複葉の雷撃機が
8機現れましたが、こちらも、零戦にたち
どころに落とされました。

 零戦が空中戦をしている間に、攻撃機は、
港内の艦艇やタンカー、修理工場などを
爆撃しました。しかし、敵戦闘機が上空から
襲ってきたため浮き足立ち、淵田中佐は、
大きな損害を与えていないと感じました。

 淵田中佐は、「第二次攻撃の必要を認む。」と
打電しました。電報を受けた南雲機動部隊司令部は、
判断に迷った上で、空母に残っていた雷撃機の
魚雷を陸上爆弾に切り換えるという命令をしました。

 この命令は、ミッドウェー海戦で同じ事をして、
大敗北するきっかけとなったものでした。この時、
ミッドウェー海戦と同じ状況を経験していたら、
ミッドウェー海戦では、違った結果になったと
思われます。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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