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山口多聞 スピットファイアからの襲撃 [山口多聞]

 ハーミスが撃沈する直前、阿武隈から
飛び立っていた索敵機から、無電が
入りました。

 それは、「北方に、もう一隻空母発見。」
というものでした。

 山口少将は、「よし。」と口にしましたが、
ハーミスの攻撃隊は爆弾を使いすぎており、
攻撃に回すことはできませんでした。現状、
爆弾を搭載しているのは、赤城、蒼龍、飛龍の
一部の攻撃機のみでした。

 江草少佐は、爆弾搭載機のみで空母の攻撃に
向かう旨を打電し、索敵機の方向のあった海域を
1時間半にわたり飛んだが、空母は発見できません
でした。いたのは商船と駆逐艦のみでした。

 索敵機の見間違いと判断し、これらに攻撃を
加え撃沈しています。その後、爆弾を抱えた9機の
蒼龍機以外は、母艦目指して帰還していきました。
残った蒼龍機は、ギリギリまで粘って探しましたが、
敵の戦闘機に襲われることになりました。

 爆弾を投棄し、護衛の零戦が迎え撃ちました。
しかし、零戦一機が機銃を浴びて火達磨になり
ました。飛んできた敵機は、最新のスピットファイアの
ようでした。

 スピットファイアは、20mm機銃2丁と機銃4丁の
6丁ついており、速度は零戦機より上でした。機銃を
全て撃つと、翼全体が火を噴いたように見えました。

 99式爆撃機では、速度は200kmも遅い上に、
7.7mm機銃しかないので、戦闘能力は格段に
劣りました。スピットファイアに追いかけられたら、
相手になりませんでした。

 爆撃機は、後方の機銃を打ちながら、急降下して
逃げましたが、回避に遅れた4機が、敵機の攻撃を
受け、撃墜しました。これを見た蒼龍隊隊長の江草
少佐は、呆然としました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 ハーミス撃沈 [山口多聞]

 上空に待機していた零戦隊は、あわてて
ブレニム攻撃機に襲いかかりました。

 ブレニム爆撃機は、航続距離を延ばすため、
翼を燃料タンクにしていました。零戦の20mm
機銃が翼を撃ち抜くと、たちまち火を噴きました。
上空に飛来した9機のうち6機が撃墜されました。

 「利根被害なし。」「赤城被害なし。」という信号が
送られてきました。山口少将は、江草少佐の様に、
88.6%の命中率をたたき出すような搭乗員が敵に
いたら、機動部隊は壊滅していたと考えました。
今回は運がよかったと思えました。

 攻撃隊は、午後1時50分、ハーミスを見つけ
ました。甲板には、航空機は見られません
でした。翔鶴と瑞鶴の攻撃隊は、ハーミスに
向けて、急降下爆撃を行い、250kg爆弾を
ハーミスに命中させました。

 弾幕はなく、戦闘機もいないので、標的艦の
訓練と変わりませんでした。しかも、ハーミスは、
標的艦より当てやすい艦でした。吸い込まれる
ように爆弾がハーミス甲板に直撃し、爆裂しました。

 37発が命中し、ハーミスは内部で瓦解している
ように激しく振動し、火焔を噴き上げました。翔鶴隊に
続き、瑞鶴隊と、赤城隊、飛龍隊の一部が攻撃を
仕掛けると、ハーミスは、上から押しつぶされたように、
沈没しました。

 随伴していた大型商船と駆逐艦は、蒼龍隊の
攻撃を受け、みるみる沈没していきました。
海上には、脱出した水兵たちが、救命具を
つけたまま、浮いていました。

 彼らは、わずかに降ろすことができたカッターに
向かって泳いでいきました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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