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巡洋艦矢矧 魚雷発射 [軽巡洋艦矢矧]

 井上氏の空母発見の報告に、艦橋から
反応はなかったものの、見張りを続けると、
煙幕が薄れ、空母1隻を発見しました。

 井上氏は、すかさず報告しました。その後、
もう1隻発見し、面舵の転舵していることを
見つけ、次々と報告していきました。好餌を
得た矢矧は、急にピッチを上げました。

 昨日の被害で穴が空いた直後は、22ノットしか
出せませんでしたが、一躍返上とばかりに、今日は
32ノットの快速を出せました。後続の駆逐艦が、
猛然と波涛を蹴って続いてきました。

 水平線を見ると、こちらに最大戦速で
近づいてくる艦影がありました。ダンラップ型
駆逐艦でした。敵機の来襲も激化してきました。
空母に近づけない意図を有していました。

 矢矧は、8本の魚雷を、敵空母めがけて
放ちました。命中は、距離から計算して
15分後でしたので、その間は、手に
汗握る瞬間となりました。

 井上氏は、「命中してくれ。たのむ」という
思いで魚雷を見送りました。魚雷発射までの
進撃中、艦橋に立って突っ込めと一点張りに
命じていた木村司令官も、この時は、魚雷の
命中を待望していました。

(追記)
 魚雷発射までに、矢矧は近づいてくる
駆逐艦と砲撃戦を演じています。矢矧に
とって最初の砲撃戦と言えます。

 この砲撃で、2隻の駆逐艦を撃破しています。
この様子を、井上氏は、直接確認しています。

 魚雷は、この砲撃戦、及び、対空戦闘の合間に
行われたもので、苦労した上での発射なので、
「命中してくれ」という願いは切実でした。

 なお、池田氏の著書によると、発射管の1本は
故障しており、発射したのは7本ということです。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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巡洋艦矢矧 昨日に続き対空戦闘 [軽巡洋艦矢矧]

 狼狽して、いきなり火を吐いた金剛の
砲撃により、最も驚いたのは敵艦隊の
ようでした。

 敵の報告電文は、「我、僚艦の砲撃を
受ける。」となっていました。しかし
すぐに落ち着き、日本艦隊の砲撃と
気づきました。

 井上氏のいる上部見張所に、参謀連中が
登ってきました。そして、井上氏の持っている
12cm双眼鏡をとり、かわり番に覗いていました。

 最後に、南六右衛門先任参謀が、「お客さんを
見せてくれ。」と悠然と近づいてき覗きました。
しかし、先任参謀が見る頃には、矢矧は方向を
変えていたため、視野の外になってしまいました。
参謀は呆然としており、井上氏は、気の毒に
なったとしています。

 金剛の初弾は、功をなし、慌てふためいた
敵機群は、日本艦隊を空母群に接近させまいと、
編隊さえ整えずに、我先にと離艦し、突入して
きました。

 空母を伴わない栗田艦隊は、上空援護も
なしに、昨日に続き対空戦闘に突入しました。
敵機は、やみくもに突入してきました。
空母遁走の時間を稼ぐつもりのようでした。

 まもなく敵機は、そのままタクロバン方面基地に
飛び去りました。ひと息つく間もなく、敵空母
襲撃を行いました。

 井上氏は空母を探すべくあたりを見渡し
ましたが、見当たりませんでした。そこで、
空母発見当時の方角を確認しました。
そこには、煙幕が展開された地帯を
発見しました。

 何かを隠すための煙幕であろうとあたりを
つけた井上氏は、敵空母と判断し、報告
しました。艦橋からは、煙幕で見えない
空母発見の報に、何の反応も示しません
でした。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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