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駆逐艦神風 海上、海面下の死闘 [駆逐艦神風]

 1945年7月16日、神風は、マレー東岸
プロテンゴール南で、スキャランド大佐
率いるアメリカ潜水艦のホークビルと、
延々十時間もの海上、海面下の死闘を
演じました。

 午後3時、神風が、プロテンゴール南方の
危険水域で、水中探信機にて、敵潜水艦
らしきものを発見しましたが、はっきり
しませんでした。

 電探室は、逆探に不審音を捉えており、
短時間継続的に電探を発動させましたが、
ブラウン管には、異様な干渉波を、映し
出しました。直ちに艦橋に報告しています。

 神風は、船団を特務掃海艇に任せて、
できるだけ接岸しつつ北上させ、探知を
続行し、捕捉に専念しました。

 しかし、ホークビルは、船団はあまり
問題にしておらず、神風の方が価値ある
目標としていました。

 午後4時、神風の右舷120度方向、
距離2kmから魚雷6本が、扇状に
開いて発射されました。

 電気魚雷らしく無航跡でしたが、
一本が波間に躍り出て突進してきたので、
神風は増速し、取舵一杯で交わしました。

 この時、潜水艦の水中反響をキャッチし、
敵に肉薄して爆雷を投下していきました。
ホークビルは、水中でこちらに向かってきて、
右に舵をきってせまってきました。

 神風も面舵30度で、寄りせまりました。
とたんに思いがけず、ホークビルは、魚雷
3本のスチーム魚雷を、神風の軸方向の
至近距離から、急発射しました。

 これを、春日艦長は、見事な操艦術により
回避しました。神風の左舷スレスレを一本、
右に二本、艦首を挟んで通過していきました。
頭部が赤く塗られた魚雷を雨ノ宮氏は、
はっきり視認しました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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駆逐艦神風 アメリカ潜水艦ホークビル [駆逐艦神風]

 足柄にいた陸軍兵士や乗員を救助し、
少し傾いた状態で航行した神風は、
シンガポールに無事到着しました。

 陸軍兵士は、ケッペル、海軍兵はセレターに、
陸揚げされました。むかえる用意は、陸軍は
至れり尽くせりだったにもかかわらず、
海軍は、着たままに乾いた服装で、
岸壁に整列して神風を見送って
いました。

 暗号長が、「陸さんの方が、はるかにサービスが
良いな。」と指摘していました。この救助の際、
電探室にも数名の陸軍兵を収容しました。

 このうちの一人に、後に東京都氷川町の町議となる
村木氏がおり、ひょんな事で、数十年後、雨ノ宮氏は
ある会社の職場で再開を果たすことになりました。

 当時はそのようなめぐり合わせが起こるとは、
知る由もなく、人間の縁はわからないものだと
しています。


 1945年7月15日、特務掃海艇3隻とともに、
神風は、小型タンカー4隻を護衛して、仏印の
ハッチェン目指し、マレー半島ぞいを北上
しました。

 翌16日午後1時すぎ、アメリカ潜水艦ホークビルとの
死闘が、延々10数時間にわたって敢行されました。
これが、「深く静かに潜航せよ。」に再現され、水雷長の
鈴木中尉が詳細を記載しています。

 雨ノ宮氏は、詳細は、鈴木中尉の記事を見て
もらうとして、電探員としての立場から、
蛇足的に説明をしています。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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