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巡洋艦熊野 敵潜水艦の攻撃 [巡洋艦熊野]

 サンタクルーズ湾に入港した翌日の
11月6日午前7時、サンタクルーズを
出港し、陸岸をサンフェルナンドに
向けて、8ノットで、北上を
はじめました。

 まもなく、マニラ上空に敵機を
視認しましたが、熊野ら船団の方への
飛来はありませんでした。

 午前9時20分頃、轟音とともに、左舷
中部から、正横約100mの海面に巨大な
水柱が上がりました。左近允氏は、空を
見上げましたが、敵機は見当たりません
でした。

 続いて、右後方約30mの陸岸に、もう一本
水柱が上がりました。ここで、敵潜水艦の攻撃と
気づきました。幸い、一本目は自爆し、
もう一本は、陸にぶつかって爆発した
ようでした。

 戦闘配置につき、警戒の強化が進みました。
ときどき、駆潜艇が、潜水艦探知の信号を
掲げました。雷撃から半時間ほど経過した
午前9時55分頃、見張員から、
潜望鏡発見の報告が来ました。

 「配置につけ」「取舵」といった号令の中、
見張員から、「潜望鏡潜没。魚雷発射」という
報告があり、熊野左方向から6本の雷跡が
迫ってきました。

 熊野は、回頭をはじめており、魚雷と回頭の、
どちらが速いかという状況になりました。
駆潜艇と、零式水上機が、敵潜水艦の
潜没位置とおぼしきあたりに、攻撃を
加えてきました。

 魚雷の内、3本は、陸岸の砂岩を吹き飛ばし
ました。見張員の早期発見のおかげで、熊野は、
被害を免れました。

 熊野は、速力を8ノットに落とし、針路を
予定の位置に戻しました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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巡洋艦熊野 陸岸を航海 [巡洋艦熊野]

 熊野を含む船団は、陸岸ぎりぎりを
とって、航海していました。敵潜水艦の
雷撃を受けるにしても、左からだけと
なるようにして、警戒の重点を左に
置きました。

 しかし、熊野ら陸地寄りを航海している
艦船は、座礁の心配をする必要がありました。

 艦の位置は正確に測定する必要がある上に、
陸寄りの艦船では、熊野が先頭に立っていたので、
基準艦として、船団の変針信号を出す役目が
ありました。

 そのため、航海士の左近允氏は、なかなか
忙しくなり、一睡もせずに夜が明けました。
左近允氏は、コンパスと海図の間を行ったり
来たりして、動きづめだったので、こたえて
いました。

 出港前に、就寝せずにダベっていたことを
後悔しましたが、後の祭りでした。
午前7時40分頃、立ったまま寝そうな
左近允氏は、厠に入ろうとした途端、
緊急ブザーと対空戦闘のラッパが鳴り響き、
回れ右して、階段を駆け上がりました。

 マニラが空襲されているようで、右前方から、
3機の航空機が現れました。零戦1機を、F6F
2機が追っているようですが、零戦は、フラフラと
熊野前方の海面に墜落しました。

 パイロットは、熊野の艦橋に立ち泳ぎしながら
敬礼してきました。その後、駆潜艇に救助されて
います。

 その後も、いくどか敵艦上機を視認した
ものの来襲はなく、日本の対潜哨戒機の
警戒を受けましたが、日没前に、
サンタクルーズ湾に入港しました。

 熊野は、青葉に横付けし、浄水器が破壊
されている青葉に対し、真水を補給しました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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