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巡洋艦最上 上陸完了 [巡洋艦最上]

 ジャワ海での初戦は、敵艦隊の砲弾は
一発も命中せず、乗員に一人も負傷者が
出なかったという、最上にとって幸運な
初陣となりました。

 海戦が終了した午前3時半頃、第11駆逐隊が、
暗中に敵タンカーが逃走中なのを発見し、直ちに
雷撃して撃沈し、小艦艇を擱座させたり、
炎上させたりして、小のものまで全艦艇を
叩き潰し、陸軍部隊も安心して、予定通り
上陸を完了させました。

 最上の海戦は、楽しげに聞こえますが、
バンタム湾に50数隻の輸送船団をもって、
送り込んだ第16軍主力の揚陸には、
かけがいのない損害も出していました。

 空と海からの攻撃で、佐倉丸が擱座し、
今村司令官以下の首脳陣も、重油に
浮かぶ海を泳いで、顔も手も真っ黒に
なって、文字通り、油揚げになって
上陸するという一場面もありました。

 曾禰氏としては、12月の開戦以来、
いくどとなく敵を追い回した挙げ句の
戦闘だったので、重荷を下ろしたような
思いがあったとしています。

(曾禰氏は、言及していませんが、
今村司令官の乗艦を撃沈させてしまった
のは、最上です。

 敵巡洋艦に向けて撃った魚雷の一本が、
敵艦底をくぐり抜けて命中させてしまった
ものです。今村中将了解のもと、戦後まで
秘匿されました。)

(追記)
 曾禰氏は、撃沈したヒューストンを、
上海にいた時、見たことがありました。
当時、アメリカ極東艦隊の一艦として
堂々揚子江上を圧倒していた
重巡洋艦でした。

 ジャワ海でお目にかかったのは
奇遇であり、最期を見届けたのも、
なにかの奇縁であったとしています。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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巡洋艦最上 砲撃開始 [巡洋艦最上]

 戦闘に加わるにあたり、曾禰氏、戦闘側を
下令すると共に、酸素魚雷の一撃を加えるべく、
水雷長に「敵一番艦同航発射」を下令し、
ついで砲戦を下令し、射距離1万mで
主砲射撃を開始し、文字通り撃ちまくり
ました。

 最上の主砲は、初弾から命中弾を出し、
敵艦は、たちまち艦橋付近から炎上しはじめ、
火達磨になりました。

 それでも、必死に応戦してきました。その
敵巡洋艦が、探照灯の光芒にくっきりと見え、
付近は真っ赤に色どられました。

 敵の一番艦ヒューストンは、最上と三隈の
集中攻撃を受け、戦闘能力を失いました。
目標を二番艦のパースに変更し、瞬時に
大火災を起こさせて撃沈しました。

 そこで、最上と三隈は反転し、航行不能に
なっていたヒューストンに対し、随伴していた
敷波が魚雷を発射して、見事に命中させ、
ヒューストンを撃沈しました。

 戦闘は、約1時間で終わり、海面はもとの
静寂に帰り、ジャワ海からは、ついに敵の
艦影はなくなりました。かくして、初戦は、
あっけなく終わりを告げました。

 火達磨になった敵艦からは、最後まで
反撃が繰り返されており、負けじ魂を発揮
したのは、敵ながら心から感心したと
しています。

(追記)
 陸軍部隊は、この夜戦を輸送船上から
観戦していました。この様子を、曾禰氏は、
源平合戦の屋島の戦いで、那須与一が、
敵味方監視の中で、弓矢八幡を念じて、
晴れの離れ業を演じた一幕の現代版だ
としています。

 曾禰氏と同郷の陸軍参謀長岡崎少将は、
船上からまたとない珍しい海戦を見物させて
もらったと、曾禰氏を前に呵々大笑して
いました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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