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源田実参謀 司令部と前線の食い違い [源田実航空作戦参謀]

 多大な成果を挙げながら、「ポートモレスビー
攻略を無期延期する」という井上中将の報告に
対し、連合艦隊の幕僚たちは、井上中将は、
祥鳳一隻の沈没で、臆病風に吹かれ、敗戦
思想に陥ったと憤激しました。

 しかし、航空機の被害状況と、燃料不足から
すると、追撃してヨークタウンを撃沈することは、
酷でした。輸送船団を護衛していた祥鳳が
撃沈し、五航戦も半身不随という状況では、
ポートモレスビーに輸送船を送るのは
絶望的でした。

 珊瑚海海戦は、戦果という点では、
日本軍の方が若干勝っていると言えます。
しかし、当初予定していたポートモレスビー
攻略はなしえておらず、戦略的敗北と
言えます。全体を総括すると、アメリカ軍が
辛勝というというところです。

 機動部隊が、本格的にぶつかり合った、
世界始めての海戦という意味で、珊瑚海
海戦は、多くの教訓を示しました。

 問題は、アメリカやイギリスはこの海戦から
多くの教訓を引き出し、対応しているのに対し、
日本軍はほぼ何もしていませんでした。

(追記)
 戦争は結果がすべてであり、結果は重視
すべきといえます。しかし、その結果に
なった理由を反省し、次の戦いに活かすと
いう謙虚さがないと、その戦いで犠牲になった
人達が浮かばれないといえます。

 珊瑚海海戦は、贔屓目に見ても、ポート
モレスビーの攻略はなしえていない以上、
失敗と言わざるを得ません。であるならば、
なぜそうなったかをキチンと反省し、
教訓を引き出すべきと言えます。

 これは、ミッドウェー攻略より重視
しなければならないことでした。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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源田実参謀 ポートモレスビー攻略の無期延期 [源田実航空作戦参謀]

 珊瑚海海戦における航空隊の両軍の被害は
以下の通りです。

 日本側は、残った航空機が、爆撃機9機、
雷撃機6機、零戦24機でした。アメリカ軍は、
攻撃機36機と、戦闘機12機が残りました。
アメリカ軍のほうが多く残っているのは、
攻撃方法の差でした。

 アメリカ軍は、日本軍ほど、肉薄するような
ことはありませんでした。しかも、瑞鶴が
スコールに下にいたため、翔鶴に攻撃を
集中でき、対空砲を1隻分しか受けな
かったというのも、要因でした。

 対して日本軍は、瑞鶴の搭乗員の40%、翔鶴の
搭乗員の30%を失いました。しかも、この犠牲者の
中に、爆撃隊飛行長の高橋赫一(かくいち)少佐も
含まれました。

 ラバウルの旗艦鹿島で指揮をとっていた南洋
部隊指揮官の井上中将は、攻撃隊を無傷の瑞鶴に
全て収容した五航戦司令官の原少将から、
「我北上す」という電報を受けました。井上中将は、
直ぐに、「攻撃を止め、北上せよ。」と伝令を
発しました。

 空母一隻撃沈確実、一隻沈没の算段という報告を
受けていた連合艦隊の司令部は、艦載機の脅威も
なくなった現状で、追撃を中止した理由が分からずに
いました。そこで、「事情を報告せよ。」と打電しました。

 ところが、しばらくしてから帰ってきた返事は、
「ポートモレスビー攻略を無期延期する。」という
ますます不可解な電報が来ました。

 司令部は、ウソの誇大報告と、被害状況が
不明なことから、誤った判断をしていたことに
なります。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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