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源田実参謀 ありえないジレンマ [源田実航空作戦参謀]

 源田参謀が述べたことが小説的発想による
妄想なのは、次の吉岡参謀の言と、状況から
考えてありえないからです。

 吉岡参謀は、源田参謀の回想に対して、
「攻撃隊を不時着させなければならなかったと
言ってるが、この時は、あのような惨事になるとは、
全く思っていなかったので、不時着させるつもり
など全くなかった。」としています。

 さらに、南雲長官の命令で北方に変針した
5時55分頃は、赤城と加賀は、格納庫で
兵装転換中であり、飛行甲板には、並べられる
状態ではありませんでした。

 飛龍と蒼龍は、兵装転換が終わっていたものの、
司令部の指示を待つために、格納庫で待機して
いました。この状況で、第二次攻撃隊を発進
させるか、収容するかで悩む必要はなく、
ジレンマになるはずがありませんでした。

 そもそも、第二次攻撃隊の発進は、1時間半後の
7時30分を予定していたので、まだ、1時間半も
あります。兵装転換をやめてすぐに発艦させる
ということでないなら、吉岡参謀の言う通り、
収容する方が先と言えます。

 ミッドウェー攻撃隊をすべて収容できたのは、
7時少し過ぎでした。このころ、アメリカの空母から
発艦した雷撃機が、戦闘機を伴って来襲したのが
この頃です。

 そして、この雷撃機は、ミッドウェー攻撃隊の
零戦も合わせて34機以上で対応し、一本も
命中することなく、逆に返り討ちにしています。

 この時まで、一発も攻撃を食っていないという
事実を過大評価した源田参謀ら、機動部隊
司令部は、この後、大惨事に巻き込まれる
ことになります。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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源田実参謀 小説的発想 [源田実航空作戦参謀]

 味方の攻撃隊が上空に帰ってきた時の
状況を、源田参謀は次のように述べて
います。

 「6時少し前に、友永隊が戻ってきて、
上空で旋回していた。ここで、私は大きな
ジレンマにぶつかった。

 発進準備のために、飛行甲板に、第二次
攻撃隊を並べれば、ミッドウェー攻撃隊の
着艦が遅れ、燃料不足のため不時着する
者があるだろう。

 かと言って、ミッドウェー攻撃隊を収容
してから、攻撃隊を準備すれば、発進は
著しく遅れることになるだろう。図上演習なら、
文句なく攻撃隊を先にしただろうが、実戦では、
血の通った戦友を動かしている。

 これらの人々に、“燃料がなくなったら、
不時着して駆逐艦に助けてもらえ。”という
気にはなれなかった。真珠湾依頼の歴戦の
士200名と、100機の飛行機を、みすみす
失うことが、今後の戦闘に及ぼす影響も考えた。

 幸い、今朝来の敵の攻撃は、アメリカ軍の
技量が大したものではないことを示している。
すでに、二時間余の攻撃が続いているが、
一発も命中していないばかりか、来襲機の
大半は撃墜している。

 わが攻撃隊の発進が遅れれば、敵の
攻撃を受けるかもしれないが、撃退できる
だろう。それより、攻撃力を大きな塊として、
敵にぶつける方が、必要と考えた。

 “そこで、攻撃隊を収容し、ついで
第二次攻撃隊を発進せしむるを可とす。”
という意見を南雲長官に進言して同意を
受け全軍北方に変針した。」としています。

 これは、例のごとく、源田参謀の小説的
発想の妄想ということになります。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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