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源田実参謀 人事部への談判 [源田実航空作戦参謀]

 ミッドウェー作戦直前の5月中ばに、
源田参謀は、海軍省人事局別室に
入っていきました。

 そこで、航空機の整備員を担当する
猪原(いはら)武雄少佐に談判を
始めました。

 内容は、「今度は実に大規模な作戦だ。
いい整備員が多くいる。整備員の学校から、
教官でも教員でも、うんといいのをできるだけ
よこしてくれ。」と言うものでした。

 猪原少佐は、直ぐには承知しませんでした。
しかし、源田参謀の熱弁に負けて、「そこまで
言われるのなら、しょうがありません。」と
返事しています。

 しかし、近くでこの話を聞いていた源田参謀の
一期上の大井中佐が、待ったをかけました。
教官も含めた整備員をとられたら、今後の
教育ができなくなるので、当然でした。

 大井中佐は、人一倍の理屈屋で、納得できない
ことには、梃子でも動かないような人物でした。
源田参謀は、そのことを知っていたので、
大井中佐のところに行かず、猪原少佐の
ところに行ったようでした。

 源田参謀は、大井中佐に反発し、「今度
やったら、後は、皆いらんようになるん
だから。次の戦争とか、計画なんて
いらんのですよ。」と返事しています。

 これを聞いた大井中佐はあきれました。
そして、整備員の養成は必要だと突っぱね
ました。

 すると、源田参謀は、「人事部が意見を
聞かないのであれば、航空本部教育部に
交渉しに行きます。」といって、指を
パチッと鳴らし出て行きました。

 この当時の航空本部の総務長は、源田参謀を
評価している大西少将でした。源田参謀は、
大西少将のことをちらつかせて、脅しを
かけたということになります。

 大井中佐は、こんな風に驕っていたら
ダメだろうと思ったとしています。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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源田実参謀 大本営の誇大報告 [源田実航空作戦参謀]

 珊瑚海海戦が行われた5月8日の夕刻、
大本営海軍部は、軍艦マーチ入りで、
同海戦の戦果を大々的に報じました。

 その内容は、「アメリカ戦艦1隻撃沈、
巡洋艦1隻撃沈、イギリス戦艦1隻大破、
アメリカ空母2隻撃沈、戦艦1隻中破、
巡洋艦1隻大破・・・」と言ったものでした。

 驚くべき大戦果であり、この大戦果を、
軍令部や連合艦隊司令部は信じたと
思われます。

 珊瑚海海戦が行われた時に発表された
と言うことは、珊瑚海海戦の戦果は入って
いないことになります。

 上記の誇大戦果を信じていれば、珊瑚海
海戦を戦った、井上司令長官や原司令官を、
臆病者呼ばわりするのは、当然となります。

 大本営発表の戦果は、ラバウルの司令官で
ある、山田少将からもたらされたものでした。
この航空隊は、クレースイギリス軍少将が
率いる水上部隊を攻撃しており、重巡洋艦
2隻、軽巡洋艦1隻、駆逐艦2隻の艦隊でした。

 しかも、攻撃したものの、戦果は全くあげて
おらず、針小棒大な報告でした。しかも、
撃沈した戦艦というのは、就役すらして
いない戦艦であり、お化けでした。

 これまで、大本営の報告は割合正確に
行われていました。しかし、マレー沖海戦
以降、攻撃隊が出れば、大戦果になるという
幻想が、関係者の頭にあり、本来戦果を
チェックすべき、大本営や連合艦隊
司令部が、報告を鵜呑みにしています。

 大本営の戦果の裏づけがない誇大報告は、
この時が最初で、この後、この弊害が長く
続くことになります。

 戦果は、井上司令長官や、原司令官が
戦った五航戦が甚大な被害を出しながら
辛勝、ラバウルの司令部の航空隊は、被害
のみで戦果なしというのが、正確な評価と
なります。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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