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源田実参謀 航空主兵の崩壊 [源田実航空作戦参謀]

 1942年8月24日、南雲中将率いる
新編成機動部隊は、フレッチャー中将
率いる機動部隊とソロモン諸島東方海面で
戦いました。

 翔鶴と瑞鶴の艦載機は、エンター
プライズとサラトガに攻撃し、エンター
プライズに3発の爆弾を命中させました。
サラトガには命中しませんでした。

 敵からの攻撃は、離れて航行していた
龍驤に集中し、4時間ほどで撃沈しました。
さらに、この海戦で、日本軍は59機の
航空機を失っているのに対し、アメリカ軍は
20機ほどでした。

 アメリカ軍は、レーダーにより、戦闘機53機を
上空に飛ばしており、戦闘機と、対空火器で
防御したからでした。

 9月2日、第四航空隊司令の森玉大佐は、
ニューギニアのラビ飛行場の薄暮攻撃(森玉
大佐も自ら出撃)の直前、25航空戦司令官に
直言しています。

 「精鋭な敵艦隊をやっつけるためには、
現在、我々が使用している航空兵器の
飛躍的改善か、航空部隊の献身的肉薄
必殺の襲撃に策応して、友軍海上部隊も
機を逸せず、これまた犠牲をいとわぬ
徹底的猛攻に転じる必要がある。

 ただ、空中攻撃のみに依存する戦法を
廃して、さらに多角的協同作戦の必要を
痛感している次第であります。」と
いうものです。

 内容的には検討の余地はあるものの、
航空戦が、ハワイやマレー沖、インド洋の時とは
様相が違っていることは確実であり、多数の
航空機と対空火器をそなえたアメリカや
オーストラリアの艦船に対応できなくなって
いるのが、実情でした。

 航空主兵では通用しなくなっているのは
間違いありませんでしたが、山本長官ら
司令部も軍令部も戦場の実相を知らず、
森玉大佐らの搭乗員たちの血を吐く
ような意見にも、耳を傾けません
でした。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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源田実参謀 再度の誇大報告 [源田実航空作戦参謀]

 8月7日~9日の3日間、ラバウルの
第5空襲部隊の陸上攻撃機、艦上
爆撃機は、ガダルカナル島付近に
いたアメリカ、オーストラリア艦船、
航空機を攻撃しました。

 戦果は、重巡洋艦1隻、軽巡洋艦1隻、
駆逐艦2隻、輸送船9隻撃沈と、報告して
いました。

 続いて、三川中将率いる第8艦隊は、
奇襲攻撃に成功し、重巡洋艦4隻、
軽巡洋艦1隻、駆逐艦6隻撃沈と
報告しました。

 これを受けた大本営は、戦艦1隻、
巡洋艦4隻、輸送船10隻撃沈と
発表しました。

 山本長官ら連合艦隊の幕僚は、この
戦果に元気づいていました。しかし、
見れば分かる通り、大本営の戦果は、
誇大報告になっています。

 しかも、各隊の報告も、アメリカ軍の
発表とは大分食い違っていました。
三川中将の夜襲による損害は、
重巡洋艦1隻と軽巡洋艦3隻撃沈と
なっています。

 違っているものの、これぐらいの誤差なら、
まだ許容範囲と言えます。しかし、航空部隊の
戦果については、駆逐艦1隻、輸送船1隻
撃沈となっており、誤差で済ませる訳には
いかない程、食い違っています。

 第5空襲部隊は、珊瑚海海戦の時に、
針小棒大な戦果報告をした25航空戦の
主力部隊です。またしても誇大報告をした
ということになります。

 これは、航空主兵を唱えている連合
艦隊を喜ばせることになりました。実際は、
三川中将の奇襲の方が、はるかに戦果が
大きかったことになり、航空主兵には
程遠いと言えます。

 誇大な戦果報告は、真実を遠ざけ、
正確な戦略を阻害することになります。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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