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駆逐艦早潮 揚陸の指揮 [駆逐艦早潮]

 出撃した10月3日の午前11時10分、
早潮は、敵の大型機の接触を受けました。

 この時、艦にいる全員が緊張しましたが、
何事もなくそれ以後は、さらに警戒しを、
厳にしつつ、航行を続けました。

 この日の昼食後、当直の伝令が、
岡本氏を呼びに来ました。先任将校が
呼んでいるということでした。

 岡本氏は、この瞬間になんで呼ばれたのか
悟りました。今夜行われる増援部隊揚陸の際に、
指揮官を命じられるだろうと思いました。

 大型艦では、短艇には、准士官以上の
短艇指揮官が、1名つけられることに
なっていますが、駆逐艦ではそのような
士官の余裕はなく、艇長に任されて
いました。

 しかし、今夜の作戦は、重大な揚陸作戦であり、
艇長に任せるというわけにはいかず、正規の
指揮官がつくはずでした。その時、指揮官に
選ばれるのは、掌水雷長か、掌砲術長の
自分だろうと噂されていました。

 岡本氏が艦橋にいくと、先任将校は、
岡本氏の前に海図を広げ、作戦命令を
下しました。

 内容は、
①今夜の揚陸には、岡本氏が、艇の指揮をとる。
②早潮は、今夜10時頃、タファロング沖300mまで
 進入する。そのご、直ちに揚陸を開始する。
③短艇は、第一&二内火艇と、第一&二カッター。
 他に、増援部隊の携行する折りたたみ式浮舟2そう
 の合計6そう。
④揚陸地点は、あらかじめ青ランプが出される。
 というものでした。

 岡本氏の予想通りでした。そして、この後、
この作戦の注意事項を告げられました。

 内容から、困難な作戦と予想されました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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駆逐艦早潮 激しい戦場生活の楽しみ [駆逐艦早潮]

 ショートトランドに入港した翌日の
1942年10月2日、ガダルカナル
増援の陸軍兵と、その物資を積み込むのに、
大わらわとなりました。

 この間、岡本氏は、忙中閑を求めて、
舷側から釣り糸を、垂れていました。
ここは、水深が深いので、獲物は
深海魚でした。

 簡単な餌を付け、数十mもの深さまで
糸を伸ばし、ややあって糸をたぐると、
手頃な深海魚が、簡単に上ってきました。

 深海魚は、水圧の関係から、大気中に
身を晒すと、目玉が飛び出していて、
姿かたちも珍しい魚体を目の当たりに
できました。

 激しい戦場生活をすごす岡本氏らに
とって、楽しみの一つとなっていました。

 この釣りで驚かされるのは、釣った
魚を引き上げる途中で、サメの餌食に
なって食いちぎられ、頭だけが残って
釣り上げられるときでした。

 このような時は、岡本氏は敵討ちと
ばかりに、釣り糸を垂らしました。
すると、この小憎らしい曲者は、
餌にひかれて面白いほどかかって
くるとしています。


 翌日の3日午前8時35分、早潮は、
ガダルカナル島に向けて、単艦で出撃
しました。

 目的地であるルンガ岬は、300海里
あります。早潮は、まっしぐらにガダル
カナル島を目指し、さらに日没後は、
全速力で突っぱしります。

 星一つない真っ暗な闇夜を利して、
揚陸をすませると、日の出前後には、
再び150海里の敵飛行機圏内を
脱出して、帰途につきます。

 この間も、あらゆる敵の妨害を
受けなければなりませんでした。
出撃した日も、午前中の内に、
敵の大型機の接触を受けて
います。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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